おはようございます。
本日の読書レビューは、知念実希人さんが2018年に発表した、『神のダイスを見上げて』です。
知念実希人さんの作品は、医学ミステリーが多いのですが、この作品は、殺人事件は起こりますが、ミステリーという感じではありません。
《ダイス》という小惑星が、地球に衝突するため、あと５日で地球消滅の危機がある、という設定です。
地球滅亡の一週間前に姉が殺される
主人公は、漆原亮(うるしばら りょう)という17歳の高校生。
６年前に母親が乳がんで亡くなり、公認会計士の父親は、若い女性秘書と同棲中で、家にいませんでした。
亮は、母親が亡くなってから、３つ年上の女子大生・圭子と暮らしていました。
姉は、街で評判の美人で、地元の大学に進学し、男子からモテ、女子からも憧れられる存在でした。
この姉弟は、小惑星ダイスは、かなりの確率で、地球に衝突すると信じていました。
そんな中、あと一週間で地球が滅亡するかもしれない……という時期に、圭子が、近くの公園で遺体となって発見されます。
地球滅亡まであと５日で復讐！
離れて暮らす父親に連絡し、親族だけで姉の葬式を済ませると、亮は、父親に「姉の仇を打ちたい」と告げます。
父親は、息子に面倒を起こされ、巻き込まれなくないため、亮に軍資金2,000万円をくれました。
親子関係の手切れ金と思った亮は、それ以降、父親との連絡は断ちました。
ピストルを入手
亮は、クラスメイトの女子で、目立たないが、ヤクザの娘(？)とウワサされる美咲に近づき、「違法な物を売ってくれる人を知らないか？」と尋ねます。
クラスメイトは、美咲とは関りたくないので、美咲はいつも一人でした。苛めの対象にも入れられていなかったのです。
美咲は、はじめて声をかけてくれるクラスメイトに驚きましたが、冷静に判断して、ある男性を紹介してくれました。
美咲の母親は、トップクラスのホステスで、昔は大変な美人だったそうです。
美咲が生まれた頃、複数の男性と交際していたため、父親はわかりません。そのピストル売りの男性は、もしかしたら美咲の父親かもしれないとのこと。
異常な姉弟愛
亮には、クラス一の美人と呼ばれる恋人がいました。
しかし亮は、姉の復讐に燃えており、地球滅亡の日に、恋人といるよりも、犯人を自分の手で殺すことが目標となってしまいました。
一方の、美咲は、亮のプライベートには興味がないようですが、ピンポイントで、冷静に指摘してくれます。
亮はこの６年間、姉が母親がわりであり、親友であり、恋人とはまた違う恋慕もあり、で亮の全てでした。
異常な姉弟愛は、街中で近親相姦のウワサが広がるほど……
亮の恋人は、亮の姉・圭子に、嫉妬していました。
姉を殺した犯人は、実は圭子だったのか？
姉・圭子のなぞ
亮は、姉に全てのことを打ち明けていましたが、姉には、秘密が多かったようです。
大学の先輩と付き合っているウワサ、ゼミの指導教授と付き合っているウワサ、小惑星ダイスをあがめる宗教団体などなど……
亮は、圭子の親友を呼び出し、１学年上の男性の所在をつきとめ、会いにいきます。
しかし、その男性は、翌日、大学の教室内で、遺体となって発見されました。
亮の行動を全て知っているのは、気を許して話しすぎた、地味な存在な美咲なのか……？
真相は？
一度は美咲を疑った亮ですが、美咲の母親は末期がんに侵されていました。
母の最期が近いのに、他人を殺すヒマはありません。
亮に情報を与えてくれていた女性刑事も殺され……。
地球滅亡まで、あと数時間、という時に、やっと真相がわかります。
亮は、犯人を仕留めることができたのか？
亮の地球最後の日は？
結局、ダイスは地球と衝突するのか？
さいごに
物語を読み進めていくうちに、地球滅亡のカウントダウンとなるので、ドキドキワクワクの連続でした。
一気読みしやすい、テンポの速い展開です。
高校生とは思えない、美咲の心の描写や洞察力も必見です！
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