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キャロル・オコンネル2010年『愛おしい骨』読書レビュー

おはようございます。
本日の読書レビューは、キャロル・オコンネルが2010年に発表した『愛おしい骨』です。
日本でも、2011年度《このミステリーがすごい!》海外小説部門で1位に輝いた作品なので、ご記憶の方もいらっしゃることでしょう。

主人公が20年前の実弟行方不明事件を探る

主人公は、37歳のオーレン・ホッブスという軍人。
陸軍の犯罪捜査部に所属していましたが、20年ぶりに故郷に帰ってきました。
20年前、オーレンがまだ17歳の時、当時15歳の弟と、いつものよに森の中へ入っていきました。
しかし、帰宅したのは、オーレンのみで、弟とは森の中ではぐれ、そのまま行方不明に。遺体はあがっていません。
ですが、最近になって、弟の遺骨と思われる骨の一部が、オーレンの実家の前に置かれるようになったのです。

年老いた元判事の実父と年老いた家政婦

オーレンの母親は、子供のころに病死しており、17歳まで父子家庭で育ちました。
母の葬式の日から、ハンナという住込みの家政婦が家におり、ハンナが兄弟の世話係&母親代わりでした。
父親は判事でしたが、今は引退しており、ハンナに身の回りの世話を頼みながら、静かに暮らしていました。
弟が行方不明になってから、父親は、オーレンの身を案じて、全寮制の高校へ転校させ、そのまま大学に進学させ、実家から遠ざけていました。
弟のジョシュアの殺人容疑が、かかるからです。

オーレンとジョシュアの美少年兄弟

主人公のオーレンは、17歳の時から美少年で、特に既婚女性に人気でした。
同級生の母親や、旅館の女将さんなど、大人の女性の誘惑を払いのけるのに必死だったオーレンですが、オーレンに狙いをつけた女性たちは、なかなか執拗でした。

弟のジョシュアは、まだオーレンほど背が高くはなかったのですが、面影が似ていました。
1人で歩いていると、背丈まではわからないので、後ろ姿はそっくりでした。弟は、美少年の兄を意識して、しぐさや髪形、服装なども、マネしていたので、よく間違えられていたそうです。

ジョシュアはオーレンと間違えられて被害者に?

オーレンを追い回していた夫人の中に、美人同級生の母であり、その街の弁護士夫人であったセアラという女性がいました。
セアラも大変な美人で、弁護士と再婚して、この街へやってきたのです。
オーレンと同級生の美少女は、セアラの前の夫との子で、連れ子でした。
弁護士は、セアラの美貌に一目ぼれし、監禁するような形で、妻を束縛していました。
セアラは、そんな夫の重い愛情に嫌気がさし、美少年だったオーレンに思いを寄せていたのかもしれません。
やがて、オーレンが弟と一緒に、森へ入り……。
弟ジョシュアは、帰らぬ人となりました。
その日、うつろな目をして森を彷徨っていたセアラが目撃されています……。
セアラは、オーレンだと思い込んで、叶わぬ恋にピリオドを打つため、誤って弟を殺めてしまったのでしょうか?

元警官の大学教授

さて、このセアラという、謎めいた中年美女は、夫だけはなく、この街に住む中年の大学教授からも慕われていました。
セアラは、鳥類の知識などに明るく、中年の大学教授とは、話が合うようです。
図書館で、歓談する姿が目撃されています。
この大学教授は、セアラよりも10歳ほど年下になりますが、若い頃、警官でした。
セアラが前夫といさかいがあった時に、今とは違う街で、セアラ母娘を助けた縁がありました。
セアラが再婚で、この街にやってきて再会を果たしたのです。
セアラが次の夫の嫉妬に苦しんでいる様子を、とても心配しているようでした。
17年前にもこの男は、この街におり、最近になって、ジョシュアが失踪したと思われる現場近くで、古い遺留品がみつかっています。どうやらこの大学教授の持ち物のようですが……

もしかして、セアラをかばうため、殺人を犯したのでしょうか?
それとも、セアラの行動を隠しているのでしょうか???

黒幕はセアラの夫の弁護士か? 大学教授か?

オーレンが、小さな街の人々に、当時の話や、その後の噂話などを聞いて回り、いろんなことがわかってきました。
信憑性がない話もありましたが、推論をたてるには十分です。

セアラが殺した線が強いのですが、17年前から精神が衰弱していて、アル中だったので、殺人計画を立てられるような頭脳はないと思えます。
黒幕の操り人形であった可能性が高く、夫の弁護士が怪しいのです。
しかし、セアラのよき理解者である大学教授が、裏で静かに手を引いていた可能性もあります……
弁のたつ夫と、物静かな大学教授。正反対の二人のどちらが黒幕なのか?

他に怪しい人たちは

オーレンの同級生であり、セアラの娘でもあるイザベルは、17年前、赤毛の美少女でした。
クラスの男子からは人気がありましたが、オーレンに片思いをしており、相手にしてもらえない鬱憤がたまっていました。
とても気が強く、カッなって弟のジョシュアに八つ当たりした結果、殺めてしまったのか?

17年前から、ジョシュアの行方不明事件を追いかけているフリーライターの記者、旅館の女将、当時オーレンの同級生で、今は街の副保安官になっている旧友などなど、オーレンには、なぜか敵がいっぱいいました。
オーレン自身は、何もしていないのに、美少年ゆえに、相手が勝手に狂おしくなってしまうのですね……

さいごに

これ以上はネタバレになるので、割愛しますが、終盤で「やっぱり!」と思った瞬間、次のシーンで、犯人が予期せぬ人だったので、ビックリしました。
さすが、12年前の《このミス大賞》1位作です!
アメリカの静かな田舎町の描写も美しく、女性らしい観点も見事でした。

ミステリアスな世界観を、ありがとうございました!

 

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