おはようございます。
本日の読書レビューは、2021年に発刊された知念実希人『傷痕のメッセージ』です。
主人公は30代前半の女医
主人公は千早(ちはや)という30代前半の女医さん。
母親を早くに亡くし、父子家庭で育ちました。
父親は警備会社に勤めており、授業料の高い医学部の学費も出してくれました。
無口な父とは、話すこともなく、大学時代から大学病院の近くで、千早は一人暮らしをしていました。
父のメッセージ
しかし、千早の父親は、末期がんでした。
千早が見舞いに行きますが、
「本当の家族ではない」
と言われた翌日に、息を引き取りました。
弁護士がやってきて、「病理解剖をしてほしい」という遺言が残っており、急遽解剖することになりました。
執刀医は、千早の大学時代の同期生・紫織でした。
大学時代は、さほど仲良くなかったので、気まずい思いをしましたが、だんだんと打ち解けていきます。
胃に暗号が……
紫織が千早の父親の解剖をすると、胃に傷痕がありました。
文字や数字が焼いてあります。
胃にメッセージを書くなら、胃カメラを使った内視鏡手術ができる外科医だと考えられます。
父親が頼んで、メッセージの刻印を胃に残したと思われます。
きっと、文書では残せなかった理由があったのでしょう。
28年前の連続殺人事件が再発
千早のもとに、初老の現役の刑事が訪れます。
父親の、元部下ということです。
しかし、千早は、父親が元刑事だという事実は初耳でした。
それも、28年ほど前に、日本を震撼させた《折り紙事件》という連続幼女殺人事件の担当だったとのこと。
千早がまだ乳飲み子だったころの話なので、千早自身は覚えていません。
なんとなく、有名な事件だったので、TV特集で見た、という印象はありましたが。
被害にあった幼女たちは、もし生きていたら、千早と同じ年ごろだったはず。
千早と同じ年代の女性の遺体が、あがったのです。
当時の事件と同じく、折り紙のメッセージつきで。
父親の死を知った犯人が、活動を再開したようです。
父の傷痕のメッセージとは?
父の解剖後、実家に寄った千早のもとへ、解剖医の紫織が訪ねてきます。
マンションに行っても、不在だったから、実家にいると察してやってきたのです。
勤務先の名簿で、実家を探し当てたのこと。
よほど緊急だったのでしょうか?
紫織は、千早の父親の胃から読み取れた暗号を、一緒に解読すると言い出したのです。
それが、ご遺体への経緯だと。
2人が話し合っているうちに、煙に包まれ、2人は命からがら逃げだします。
《折り紙事件》の犯人が千早を狙っていると考えられます。
千早と紫織は、以前、父親の部下だったという初老刑事の協力を得て、暗号を解くと……
さいごに
表面的には、父親の傷痕のメッセージを解読して、折り紙事件の真相を、2人の女医が暴く、というストーリーです。
しかし、裏のストーリーも巧みに練られていて、ラストの展開はビックリ!
過去の事件と、現在の事件が、まさかの千早の生命と関わっているとは……!
現役医師ならではの、知念実希人さんの発想が、とても新しく、いつか映画化されるのでは!? と楽しみな作品でした。
オーディブルの聴き放題プランにも、入っています。
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