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ロバート・K・レスラー2000年『FBI心理分析官』読書レビュー

おはようございます。
本日の読書レビューは、20年ほど前に、日本でも話題になった故ロバート・K・レスラー氏の『FBI心理分析官』です。
1970年から1980年代にかけて、全米を震撼させた凶悪事件の殺人鬼をプロファイリングした一冊!
この本のあと、日本の犯罪史や、ミステリー小説でも「プロファイリング」という言葉が使われるようになりました。

連続殺人鬼は知能指数IQが高い白人男性

レスラー氏は、大学と大学院で犯罪学を専攻し、FBIで凶悪殺人を犯した犯人の心理分析官だった人物。
レスラー氏の分析によると、連続殺人を犯す人物は、白人男性で、犯行当時は20~30代。

知能指数IQが高いのに、知的職業には就けず、なぜか単純労働者であることが多いそう。
頭がいいのに、家庭環境が複雑で、たいていの場合、両親が離婚しています。
全ての離婚家庭を非難しているのではなく、特徴として、両親の愛情を受けていない、そして、きちんとした躾(しつけ)も受けていないので、道徳観念がないようです。

暴力は親から受け継いでいる?

幼少期に、親や義父母などから、虐待を受けて育ったケースも多いとのこと。
また、暴力ではなく、言葉の暴力、今風にいうとモラハラなどで、育った人物も、心に鬱憤をためこんで、犯行の動機になるそうです。

家族への復讐の対象が無差別殺人に?

多くの殺人鬼が、自分の母親、または父親に復讐したい!
という憎悪を持っており、抵抗できない少年少女や、若い女性を襲っています。
母親への復讐心が強い犯人は、好みが偏っており、自身が幼少の頃、まだ若くて美しかった母と似た、若い女性をさらってきて、暴行と殺害を繰り返していました。

また、義父への復讐を想像しながら、自身の幼少期と似た少年をターゲットにする者もいました。

殺人の80%は、家族内の問題というデータがあるように、連続殺人鬼も、他者を狙ったとはいえ、心の奥では、家族への復讐が原因であるようです。

罪悪感がない?

複雑な家庭環境で育ったせいか、殺人鬼の共通点は、罪悪感がないことです。
ある殺人鬼は、クリスマス休暇に泊まるところがなく、お金もなかったので、鍵の開いている家に入って、住民を脅して殺してから、キッチンのご馳走と寝室を拝借した、と話している者もいました。
鍵のかかっていた家は、壊すのが面倒だから、スルーしているのです。
こうした異常者にとっては、ものをどかすような感覚で、自分のその日の都合で、殺人を平気で犯していたのです。

なぜアメリカでは白人男性の殺人鬼が多いのか?

レスラー氏は、白人に絞って調査をしたわけではありませんでした。
他民族国家であるアメリカですが、なぜか連続殺人を犯す者に、黒人やアジア系の人は、かなり少なく、白人男性が多かったそうです。また、女性も少ないとのこと。
アメリカに住む白人の多くが、ヨーロッパ大陸からの異民族が先祖なので、ヨーロッパの中世の血なまぐさいDNAも影響していかもしれないそうです。

さいごに

映画『羊たちの沈黙」のモデルになった殺人鬼もおり、犯罪史に名を残したので、自身が有名人だと錯覚している者もいました。
何が「普通」かは、人によって価値観が違うと思いますが、やはり幼少期の過ごし方で決まるものなのですね。
この本が出てから20余年。
プロファイリングなど、犯人を特定する技術は進化しました。
しかし、犯行を事前に抑える技術は、未だに進化していません。
捜査方法や分析方法ではなく、その前段階の犯罪を防ぐ技術が進化しなければ、また新たな連続殺人鬼が登場してしまうと思いました。

 

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