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知念実希人2017年『崩れる脳を抱きしめて』読書レビュー

おはようございます。
本日の読書レビューは、知念実希人さんの『崩れる脳を抱きしめて』です。
この作品は、2017年に発表されたもので、ミステリー作家の知念幹人さん初の恋愛小説となるそうです。

この作品、3度ほど、泣ける場面があるので、密室で読むことをおすすめします。
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主人公は脳外科医を目指す26歳の男性研修医

実家のある広島の大学病院で、研修医として働く碓氷蒼馬。
蒼馬の実家は、中学生の時に、父親が若い愛人を作って出奔し、母子家庭で育ちました。
母親は、父親が残した借金と生活費を稼ぎ、蒼馬は奨学金で医大を卒業。
蒼馬が医師を目指したのは、将来、アメリカに渡って腕の良い脳外科医になって高給取りになり、母と妹に楽をさせたい、という思いからでした。
蒼馬には、10歳近く離れた高校生の妹もいます。
妹も、よくわきまえていて、国立薬学部に進学すると猛勉強中です。

研修で神奈川県の葉山の療養施設へ

蒼馬は、療養施設の研修で、神奈川県の葉山にある富裕層向けの病院へ出向します。
その病院は、終末医療を扱っており、ほとんどの患者が富裕層で、高級ホテルのようなしつらえです。
そこに、ユカリという28歳の女性患者が入院していました。
蒼馬の2つ上なので、ほぼ同年代。
ユカリは、最悪の脳腫瘍とされる「グリオブラストーマ」を患っており、いつ死んでもおかしくない状態。
長い黒髪と、上品で美しい顔立ちの色白の女性でした。
この病院は、患者の要望を第一とするので、ユカリは、蒼馬の勉強部屋に自身の病室の書斎を提供します。

毎日会ううちに、惹かれあう

療養施設なので、終末に近づいた患者の発作以外は、特に緊急治療もなく、のどかな日々が流れます。
毎日、午後からユカリの病室で勉強していた蒼馬は、次第に自身の過去を、ユカリに話すようになります。
ユカリの孤独な生い立ちも聞き、二人は次第に惹かれあいます。

ユカリの死

研修期間が終わると、蒼馬はユカリと離ればなれになります。
脳外科医を目指す蒼馬は、これから広島で厳しい研究を受け、やがてアメリカに旅立つ予定です。
しかし、葉山を離れる前に、ユカリに思いを告げたいと思いました。
しかし、拒絶され、昇進の内に、蒼馬は帰郷します。
広島の病院に戻った蒼馬のもとに、ユカリの弁護士が訪れました。
ユカリは、4日前に亡くなったと。
そして、ユカリは、蒼馬に約3,000万円を残していました。
医大の奨学金の残り返済額と同額でした。

ユカリは幻か?

ユカリの死を不自然だと感じた蒼馬は、葉山に向かいます。
同僚の女医が、インフルエンザに罹ったとウソの診断をしてくれたおかげで、蒼馬は、ユカリが倒れた横浜の墓地などを、捜索します。
葉山の病院を訪れると、ユカリは確かに亡くなったが、蒼馬が診察した記録はない、と医療スタッフたちに告げられます。
蒼馬が研修にきたとき、疲労で精神かく乱状態で、幻覚症状があったが、患者の回診には支障がなかったので誰も指摘しなかったと……。
ユカリと会ったのは、一度だけで、きっと蒼馬が一目ぼれしただけで、スタッフが遠ざけていたようです。
その話は、果たして本当なのでしょうか?

本当のユカリは誰?

蒼馬は、どうしても、自分が幻覚を起こしていたとは思えません。
本当のユカリはまだ生きていて、違う者が亡くなったのでは?
という疑問が膨らみます。
葉山の療養施設内では、もう一人、ユカリと同じ年頃の女性がいました。
しかし、髪型も違い、いつもファッションモデルのようなハデな服装でした。
その女性も、ユカリと同じ疾患で、亡くなっていました。
同時期に、逝ったのでしょうか?

恋愛小説でありながらミステリー

登場人物の心情が厚く描かれた恋愛小説ですが、ユカリの存在がミステリーでした。
その辺りは、さすが、ミステリー作家!
殺人の起こらない、恋愛ミステリーという感じでしょうか。
知念実希人さんは、現役の医師なので、死を目前にした患者と、その医師の勘や判断が、とてもリアルでした。

さいごに

ファンタジーっぽいのに、ファンタジーではない。
ミステリー的な謎があるのに、涙を誘う恋愛小説で、とても印象に残る一冊でした。
本作は、2017年度の本屋大賞ベスト10にランクインし、今もなお、読み継がれる名作です。
ミステリー仕立ての恋愛小説をぜひ!

 

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