おはようございます。
本日の読書レビューは、人気ミステリー作家、有栖川有栖氏のデビュー作!『月光ゲーム Yの悲劇'88』です。
エラリー・クイーンの『シャム双生児の謎』を彷彿させる作品ですが、ただのオマージュ作品ではありません。
デビュー作で、これだけのトリックやナゾの仕掛けが書けるとは!
やはり人気作家になる方は、スタートもスゴイ!
主人公は有栖川有栖
この物語の主人公は、作者の学生時代の有栖川有栖。
京都の名門私立大学に入学して、ミステリー同好会に入会して、夏合宿に行くところから始まります。
夏合宿の行先は、長野県にある休火山。
有栖が所属する同好会は、先輩と有栖を入れて4人だけ。
人気がない山なので、空いているだろう~と山頂のキャンプ場に向かいますが、神戸の大学生と短大生たちで結成されている登山サークルの学生たちと一緒になりました。
休火山が噴火
和気あいあいとした雰囲気に、有栖は、神戸の短大生ルナと呼ばれる学生に惹かれます。
ミステリー小説のことは、理解していませんが、有栖好みのナゾを抱えていそうな雰囲気です。
何組からのカップルもおり、学生ならでの思い出のキャンプとなるはずでしたが……
なんと、休火山から煙が出てきて、地震が起きます。
休火山は、火山活動を始めてしまったのです。
火山が噴火するたびに、殺人が起こる
幸い、キャンプ場が火の海になることはなく、死者は出ていないはずでしたが、女子学生が一人、置手紙を残して、下山していました。
噴火に巻き込まれていなければ良いのですが……
しばらくすると、二度目の噴火が起こり、男子学生の刺殺遺体が見つかります。
遺体のそばには「Y」というダイイングメッセージがありました。
噴火が起きるたびに、学生がいなくなるのは、偶然なのでしょうか?
女子学生の優子が犯人か?
今回の登山に参加している学生の中で、「Y」の頭文字を持つのは、女子学生の夕子だけ。
遺体が見つかる前に下山した女子学生は山崎さゆりで、苗字が「Y」です。
彼女がどこかに隠れていて、男子学生を刺したのでしょうか?
男女間の恋愛のもつれが動機か?
20人近くの学生が集まっていたので、カップルもいましたが、片思いで辛い思いをしている者もいました。
有栖が所属する同好会の部長が、次々とナゾに挑みます。
まだ、救助隊はやってきません。
ラジオを聞くと、この山の噴火状況はニュースで報道されていましたが、救助隊が近づけないとのこと。
閉ざされた空間で、恐怖におびえる学生たち。
食糧も底をついていきます。
そこで、最後の殺人!(未遂?)
さいごに
ラジオで救助隊が来るとわかった時。
ミステリー同好会の部長が、この事件の概要を話し始めます。
最後の殺人の被害者は、瀕死の状態。
観念した犯人も、動機を語り始めます……。
若き学生の愛憎劇が、見事にエラリー・クイーンの名作『シャム双生児の謎』をヒントに繰り広げられる代表作!
有栖川有栖氏の小説も、他の作品をもっと読みたい!と心底、思えました。
個人的にはイギリス好きなので、≪国名シリーズ≫の『英国庭園の謎』からはじめてみようと思います。
新たなミステリージャンルを、ありがとうございました。