食事をした後、食べ物から得た栄養成分は、カラダの代謝機能によって、吸収されたりしますが、腸内にその代謝機能を遅くし、肥満など、あらゆる生活習慣病へ向かわせる、”特殊な細胞”が存在することがわかってきました。
あの世界的に有名な科学雑誌『ネイチャー誌』に掲載されたハーバード大学の最新研究研究! 詳細を見てみましょう。
腸内に代謝を遅くする”特殊な細胞”が存在!?
アメリカのハーバード大学とマサチューセッツ総合病院の共同研究で、まだ動物実験の段階ではありますが、マウスの腸の中に、カラダの代謝機能を遅くし、肥満や糖尿病、高血圧、動脈硬化などの生活習慣病に発展するメカニズムが解明されたと発表されました。
マウスはヒトと生体構造が似ているため、早くも『ネイチャー誌』に発表され、腸と心血管疾患の関連性の発見となり、今後の治療が明るくなる! と世界中で注目が集まっているようです。
そのメカニズムとは、腸内に、ある特殊な細胞が存在し、それが様々な生活習慣病を引き起こしているようなのです。
この細胞は一体どういったものなのでしょうか?
生活習慣病に繋がる”特殊な細胞”とは?
この細胞の正体は「上皮内Tリンパ球」といい、この細胞が存在しない時、実験対象のマウスたちは代謝状況がスムーズであったということです。
「上皮内Tリンパ球」が存在しない時は、脂質や糖分の多い食事であっても、冒頭で述べた様々な生活習慣病のような、代謝疾患に抵抗することができます。
しかしこの細胞が腸内に存在している状態だと、代謝スピードをアップさせる「インクレチンGLP-1」という物質の働きにブレーキをかけて、生活習慣病を引き寄せてしまうのだそうです。
しかし、この「上皮内Tリンパ球」は決して悪者と言うわけではないそうです。
「上皮内Tリンパ球」の働きとは?
この細胞、結果的に生活習慣病を引き起こすことになるので、一見、悪者に見えますが、カラダの代謝速度を遅くすることによって、食事から得るエネルギーを保存するという役目があります。
しかし、「飽食の時代」と言われる現代では、この「食事から得るエネルギーを保存する」作用が裏目に出て、肥満や糖尿病などの生活習慣病となってしまっているのです。
太古の昔から、どこの国の人々も、食べ物を得るのに大変な苦労を強いられていたので、ヒトのカラダには「食べられる時にたくさん食べてエネルギーをカラダに保存する」という機能が備わっています。
こうして人類の先祖は飢餓からカラダを守っていたのです。
すなわち、その機能こそが「上皮内Tリンパ球」の本来の役割であったのですね。
人間だけではなく、生物全般として、食糧がなくなると、カラダはエネルギーを燃やすことを控えて、貯蔵に回すことで命を守ってきたのです。
「上皮内Tリンパ球」を上手くコントロールすることがカギ
この細胞の発見で、研究者たちは、エネルギーの貯蔵は、生体構造上、大変重要なことなので、この細胞の働きが裏目にでることで、様々な病気を引き起こしていることを留意の上で、逆算して治療内容を改めれば、心血管疾患の予防法の助けになるはずだ、と述べています。
※参考:『ネイチャー』2019年1月
さいごに
「どうして太るのか?」など、メカニズムを知っておけば、原因がわかるので、対策が立てやすいかもしれないですね。
家の中をスッキリさせる「断捨離」ブームは、『ミニマリスト』という形で広く浸透するようになりましたが、食生活の断捨離やミニマリストも必要と言えるでしょう。
「Ⅱ型糖尿病や肥満はゼイタク病」とよく言われるように、現代の私たちは食べ過ぎているのです。
ご自宅の断捨離のように、食生活でも一品一品、「これはカラダにとって必要か?」を見極めることが健康への早道なのかもしれません。
ただただ「ガマン」だとストレスになるので、スイーツを食べた翌日は、食事の量を全体に控えめにするなど、メリハリのある食生活を目指してみましょう。