同じ食事内容でも太ると人と、そうでない人がいるように、薬の服用にも同じことが言えます。
薬は食品と違い効果・効能を謳える製品なので、つい、誰にでも効くように思われがちですが、やはり個人差はあり、ある人に良くても、ある人は副作用に苦しむことになるのです。
薬もやはり個々人の腸に潜む「腸内細菌」によって効き方が違ってくることが最新研究でわかってきました。
あの世界的に権威ある科学雑誌『ネイチャー』に掲載された、最新研究の詳細を見てみましょう。
腸内細菌は薬の代謝にも関与
人間は口から摂取したものは、必ず小腸から腸内に入り、腸内細菌によって代謝されることになります。
食べ物や飲み物だけでなく、薬もしかり。
当たり前のことのようですが、これまで、薬物の代謝に関しては、腸内細菌を含めた微生物との関与の特定が難しく、なかなか研究が進んでなかったそうです。
しかし、アメリカのイェール大学の研究で、まだ動物実験の段階ではありますが、薬物と腸内細菌の関連性の特定に成功しました。
薬物の代謝の70%が腸内細菌によって行われる?
この研究で、腸内細菌の宿主とその細菌叢の関与を、計算によって予測し、「薬物動態モデル」というものが作成されました。
このパターンによって、患者さん個人の腸内細菌叢を考慮して、その人に見合った薬を的確に処方することができるようになるので、治療の成功率が高くなるのではないか、と期待されています。
動物実験ではこの方法の成功率が高く、薬物代謝の約70%が、腸内細菌叢によるものだということが明らかになっています。
※参考:『サイエンス』2019年2月
さいごに
風邪薬や花粉症の薬だけでも、かなりの種類があるので、どれが自分に合うのかわからないものですよね。
市販薬で済まさず、きちんと医療機関で診てもらっても、その病院が契約している薬が処方されることもあるので、専門知識のない私たちは、それを飲むしかありません。
しかし、腸内細菌叢から、あう薬を割りだしてくれれば、副作用に苦しむことなく、適薬ですぐに病気が改善されるようになることでしょう。
アメリカで発表されたばかりなので、日本で適用されるようになるのは、きっと5年以上後かもしれませんが、薬だけではなく、食事版のこうしたシステムも開発されるといいなぁと個人的に思う次第です。