お題「#おうち時間」
「STAY HOME」週間がはじまりましたね。
おうちにいる時間が長く、さほど汗ばむ気候でもないので、毎日の入浴はシャワーで済ませている人が多いことでしょう。
しかし、毎日湯船に浸かって入浴することは身体の代謝がUPし、心血管疾患リスクも低下傾向にあることがわかってきました。
日本の共同研究の詳細を見てみましょう。
毎日お風呂に浸かる習慣を!
国立がん研究センターや大阪健康安全基盤研究所などの共同研究によると、毎日お風呂に浸かる習慣は、虚血性心疾患や脳卒中による死亡リスクを低下させることがわかってきました。
この研究結果は、長期に及ぶ大規模な疫学研究からわかったことで世界初の発見!
日本人を対象とした調査とのこと。
古くからお風呂に浸かる習慣がある日本ならではの研究結果ですね。
浴槽入浴は、睡眠の質と健康への第一歩
以前から日本人は、一般的な浴槽入浴が睡眠の質を高め、健康への自己評価の高さに関連することがわかっていました。
動物実験や、少人数の人を対象とした研究では、浴槽入浴が糖尿病や肥満の改善に役立つことがわかったものの、浴槽入浴の習慣と「心臓発作」「心臓突然死」「脳卒中」といった心血管疾患系リスクに対して、長期的にどう影響を与えるかまではわかっていませんでした。
このことを調査するために、研究班は多目的コホート研究のデータを分析!
対象となったのは、循環器疾患や何らかのガンの既往(きおう)がなく、詳細な調査アンケートに回答した約3万人の人たちです。
1990年から20年分のデータを解析!
この研究は1990年から開始され、アンケートでは浴槽入浴の頻度を含めた「生活習慣」「運動習慣」「食生活」「アルコール摂取」「体重とBMI」「平均睡眠時間既往歴」「服用薬」などの項目が設けられました。
データ解析時には、対象者を浴槽入浴の頻度により、
- 週2回以下
- 週に3~4回
- ほとんど毎日
の3グループに分け、心血管疾患リスクとの関連を調べています。
詳細結果は?
約20年の追跡期間中に、心血管疾患は約2,097例あり、
- 心筋梗塞 275例
- 心臓突然死 53例
- 脳卒中 1,769例
とのことでした。
データを分析すると、浴槽入浴の頻度が「週2回以下」のグループと比べて、「ほとんど毎日」のグループでは心血管疾患全体のリスクが28%も低下していました。
そのうち「虚血性心疾患」リスクは35%低下。
しかし、「心筋梗塞」や「心臓突然死」については統計学上、有意な関連は見られなかったそうです。
脳卒中関連の詳細結果は?
脳卒中系の疾患は、全体で26%の低下。
そのうち「脳出血」は46%、「脳梗塞」は23%の低下が見られましたが、「くも膜下出血」については関連が見られなかったそうです。
以上が、浴槽入浴の頻度と心血管疾患リスクの詳細結果となります。
また、前述した生活習慣や食生活、飲酒習慣を統計学的に調整しても、結果はさほど変わらなかったとのことです。
浴槽入浴の水温と心血管疾患の関連は?
さらに、浴槽入浴時の水温と心血管疾患リスク全体との関連も分析されました。
適温の湯(夏場40度程度、冬場42度程度)の場合、ぬるめの湯(38~39度)に比べてリスクが26%低下、熱めの湯(43度以上)に比べると35%低下することもわかってきました。
しかし、こと「脳卒中」の全体的なリスクと水温については、有意な関連は見られなかったそうです。
日本における浴槽入浴時の死亡例について
一方で、この論文について、諸外国からは日本で浴槽入浴時の死亡例が多いことが指摘されています。
これについては、水温を高くして入浴する高齢者が多く、また脱衣室と浴槽の温度差(ヒートショック)など、「過熱」による意識障害による死亡や溺死だと説明されています。
さいごに
研究者たちは、この研究はアンケート調査をもとにデータを分析した「観察研究」であるため、心血管疾患のリスク低下の「原因」の特定に至ったわけではない。
あくまで統計上で、毎日、適温の水温で入浴することが望ましいという結果に至ったと述べています。※参考:『心臓』
入浴は「ぬるめの湯に長めに入ったほうがいい」とか、「熱めの湯に短時間浸かり汗をかくのがいい」とか、諸説いろいろありますね。
結局、適温で10~20分までの標準入浴を毎日行うのが、健康維持に役立ちそうですね。
入浴は血流をよくして、代謝もよくなるので、運動不足になりがちな「STAY HOME」週間に取り入れたい習慣ですね。