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2020年 本屋大賞受賞作 凪良 ゆう『流浪の月』読書レビュー

おはようございます。
先週は、会社の夏休みで関西に帰省していたので、いつもより移動が多く、その間、耳読がたくさんできました。
今週は読書レビューを中心に、UPしていきたいと思います。

本日の読書レビューは、2020年の本屋大賞受賞作『流浪の月』です。
映画がヒットしたので、記憶に新しい方も多いことでしょう。

映画化作品は、観ていないのですが、大事な登場人物のキャストが変わっていましたね……。
やはり話題作は、原作を読む(聴く)のが一番ですね。

著者の凪良 ゆうさんは、一貫して「世間になじめない人」を主人公にした物語を書く方で、この作品は、始めから終わりまで、主人公二人に感情移入してしまいました。

15年前に起きた、幼女誘拐時間の加害者と犯人が主人公で、当事者たちにしかわからない事情や心理描写が見事な作品でした。

出会った当時、女の子が9歳だというだけで、19歳の男子大学生が、犯人扱いされてしまい、世間が勝手に憶測で、あることないこと書き立てて、犯罪者と加害者に仕立てられていく……。

小説の世界なのですが、実際の事件にも、このような事実はあるのではないか?
と考えさせられる物語でした。

一言で済ますと、加害者と犯人の物語なのです。
でも、そうではなく、10歳差の男女が、お互い未成年の時期に出会い、15年の歳月を経て再会する場面に見え隠れする、宿命のような絆の繊細さが、涙腺を刺激しました。

二人だけにしか理解しあえない共通の心の闇に対して、終始、「言い知れぬ悲壮感と、純粋さ」、そして最後には、二人を応援したくなるような物語でした。

号泣するような悲しい物語ではありません。
ですが、なんだか静かに涙腺を刺激するシーンがいくつもあったのです。

実在の人物ではないのですが、どこかでひっそりと、2人で幸せにくらし続けてほしい、と願っています。

映画は機会があれば、観ようと思いますが、小説の余韻のままにしておきたいと思った作品でした。