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アガサ・クリスティー1924年『茶色の服を着た男』読書レビュー

おはようございます。
本日の読書レビューは、アガサ・クリスティーの長編4作目『茶色の服を着た男』です。
1924年の作品で、アガサ・クリスティー自伝によると、当初は違うタイトルで考えていたところ、出版社の担当者に、他の作品と区別化するために、『茶色の服を着た男』となった、と書かれていました。
今も昔も、作家さんと編集者の思惑はちがうものですね(笑)

若い独身女性がヒロイン!

クリスティー作品の主人公は、名探偵ポワロや、老婦人のミス・マープルなど、高齢者が多いのですが、この作品の主人公は、アン・ベディングフェルドという、まだ二十歳の女性。
イギリスの、とある古い地方都市に住んでいましたが、考古学者の父親を亡くし、自由の身となりました。
そこで、ロンドンから来た父親の弁護士に頼みこんで、仕事が見つかるまで下宿させてほしいと哀願し、念願のロンドン暮らしを始めます。

ロンドンの地下鉄でナフタリンの匂い?

ロンドンの弁護士宅で下宿をはじめたアンでしたが、夫人にとっては迷惑な存在であることは明らかでした。
仕事探しを始めますが、思うような仕事は見つかりません。
ある日、アンが地下鉄に乗ると、ナフタリンの匂いがするオーバーを着た男性と遭遇します。
その男は、何かを見て恐れ、地下鉄の線路に落ちて、感電死してしまいました。
アンは、男が息を引き取る様子など、一部始終を見ており、紙切れを拾いました。ナフタリンの匂いがするので、死んだ男のものと思われます。
しかし、意味不明の走り書きのようなものでした。暗号のようにも見えます。
そこへ、医師だと名乗る《茶色の服を着た男》が人混みを分けて、遺体に近づき、脈を測ります。

死亡が確認され、やがて警察が到着しますが、先ほどの医師は消えていました。

第二の遺体の発見現場にも……

翌日アンは、新聞の記事で、地下鉄の駅で亡くなったナフタリンくさい男の名前を知ることになります。

  1. 男性の遺体のポケットから、下院議員のサー・ユースタス・ペドラーの招待状が見つかった。
  2. ベドラー氏の邸宅《ミル・ハウス》の2階で、外国人と思われる美しい若い女性の遺体が見つかった。
  3. ミル・ハウスでの遺体発見騒動時にも、地下鉄の遺体で医師と名乗った《茶色の服を着た男》の姿が、目撃された。

以上の3つの事実が、わかりました。

アンは、拾ったメモが気になってしかたがありません。
そこで、警察に出頭して、メモの存在を話しますが、アンをバカにして取り合ってくれません。
警察の態度に腹を立てたアンは、自身で暗号を解きました。
すると……客船《キルモーデン・キャッスル》だとわかりました。

茶色の服を着た男

茶色の服を着た男

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船旅へ!冒険旅行の始まり

その客船は、南アフリカへ出発するところで、ちょうどイギリスに停泊しています。
すぐさま、乗船券を買いに行くと、アンの所持金ピッタリの額の個室が空いていました。17号室の予約を済ませると、アンは下宿の弁護士宅へ戻ります。
アンは、弁護士夫妻に、南アフリカで職が見つかったので、すぐさま客船に乗ってお暇する旨を伝えました。
弁護士夫人は、アンをやっかい払いできる嬉しさから、お餞別に約一か月分の生活費を握らせてくれました。
船に乗り込むと、新聞に書かれていた、下院議員のサー・ユースタス・ペドラーが二人の秘書を連れて乗船していました。
やはり、この船で、何かが起こるようです……。

豪華客船の乗船客たち

アンが乗り合わせた豪華客船には、社交界の花であるブレア夫人(スーザン)も乗っていました。
退屈していたブレア夫人は、若い女性の船旅に、興味津々。
気を許したアンは、ブレア夫人に、自分の生い立ちや、船を乗ることになった理由を、すべて打ち明けました。
頭の切れる夫人は、アンを応援します。

そのほかには、レイス大佐というイギリスの秘密警察の仕事をしている、という噂のある中年男性や牧師などが乗っていました。
レイス大佐からは、戦前(第一次大戦)南アフリカで起きたダイヤモンド盗難事件などの、嘘か本当かわからない都市伝説を訊きます。

アンは、なぜか、ダイヤモンド遭難事件は、本当に起きた事件だと直感し、地下鉄で死んだ男や、茶色の服を着た男が関係しているように思えました。

アンの部屋に謎の負傷男が侵入

さて、船上のパーティーやディナーが終わり、部屋に戻る時間がやってきました。
アンが予約した17号室に戻ろうとすると、他に二人も、17号室に予約をした!
と言い張る人物が現れます。
ベドラー氏の秘書と牧師でした。
船長に泣きついたアンは、17号室を勝ち取りますが……
その夜、不快なにおいに襲われました。しかし、田舎暮らしの長かったアンには、耐えられないほどの匂いではなかったので、そのまま眠りにつきました。
すると、深夜、傷をおった男がアンの部屋に転がり込んできました。

他の2人が17号室だと主張したのは、この男が原因なのでしょうか?
アンは傷の手当てをしてやり、男は、礼も言わず、アンの部屋を去ります。
アンは、「どこかで見たような気が」しました。

アン監禁される

船旅にも慣れてきたころ、船は、オランダのある街に停泊しました。
アンは一人でカフェに入り、コーヒーソーダを注文します。
店の人にあれこれ質問しているうちに、珍しいものを見せてもらえることになり、部屋を移動すると……
見事にハメられてしまい、アンは見知らぬ土地の家で猿轡をはめられて監禁されてしまいました。
アンは、いろいろと詮索して、知りすぎてしまったようです。
しかし、何を知っているというのでしょう?
アンはもがきながら、ガラスの破片が落ちているのに気づきます。
手足は不自由でも、身体ごと移動すれば、破片に近づくことはできます。
階下では、人の話し声がします。聞き覚えのある声も。どうやら船で客室争いをした牧師のようです……。
牧師には裏の顔があったのでしょうか?

何とかガラスの破片に近づき、自身で縄を解いたアンは、脱出を図ります。
一命をとりとめたアンは、慕っているブレア夫人の客室に飛び込みました。

アンの荷物にフイルムケースが?

アンが部屋に戻ると、違和感を感じます。
荒らされた形跡はありませんが、ものの配置が違っているように思えました。
トランクを開けて点検すると、衣類の中からフイルムケースが見つかります。
ナゾを解くために、次の停泊地で確かめますが……
謎は一層ふかまっていくばかりです。

ベドラー氏の二人目の秘書

船の中のベドラー氏一行には、見知らぬ男がいました。
アンの部屋に転がり込んだ、負傷者と似ています。
そして、地下鉄で見かけた茶色の服を着た男にも、似ているようなきがします。

今まで、船酔いが酷く、部屋でやすんでいたとのこと。

それから、牧師とも再会しました。船上での牧師は、人の好さそうな態度でしたが、アンをみて驚いたようでした。

ダイヤモンド事件と茶色の服を着た男

ある小島に停泊した際、アンは、またもや危険な目にあいます。
今度は、逆の立場で、負傷した男に助けられました。
ここで、アンは、ダイヤモンド事件の真相を知ります……。
ベドラー氏の邸宅で、遺体で見つかった美女の正体も……。

結末はハッピーエンド!

まだアガサの初期の作品なので、読みにくい部分もありましたが、謎解きの冒険小説の古典として、多くの作家に賞讃された作品でもあります。

語り手は、主人公のアンなのですが、一章ごとに、下院議員のベドラー氏の語りも入るので、良く理解していないと、アンとベドラー氏の、どちらの意見なのかがわからなくなります。
読みながら頭を使うので、読後は疲れるかもしれません(笑)
しかし、読み切った! という読後感と、ハラハラしながらもハッピーエンドなので、ほほえましい部分もありました。

さいごに

アンを主人公とした続編の作品は、出ていませんが、秘密警察のレイス大佐は、アガサの後の作品に登場します。
このレイス大佐は、なんとポワロ作品の名作『ナイルに死す』に登場する人物です。
この作品の主人公のアンとポワロさんが出会うことはありませんが、アンとポワロの共通の知人がいるとは、なんとも不思議ですよね。
まぁどちらにしても、架空の人物で、物語の世界でのお話なのですが、クリスティーファンとしては、嬉しい発見なのです。
本書は一度、図書館で借りて読んだのですが、イマイチ記憶が薄かったので、再読できて光栄でした。

ありがとうございました!

茶色の服を着た男

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