栄養ミステリー

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感染症対策と野菜の関係08~シチューの作り置きにご注意!「ウェルシュ菌感染症」

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冬は魚介類がたっぷりと入ったホワイトシチュー、ビーフシチュー、そして豚汁など、多めに作って、何日かにわけていただけるポカポカメニューが人気ですね。

根野菜なども煮込むので、1皿で野菜もたっぷり採れていいのですが、肉類や魚介類が入っているので、作り置きのため、お鍋の温度が下がっていくときに、ウェルシュ菌が増殖して食中毒になる場合があります。

冬のイベント会場で、豚汁やカレーの炊き出しが原因で集団食中毒を引き起こしたり、学校給食や、介護施設などで起きやすい食中毒でもあります。

家庭での報告も皆無ではないので、注意しておきたいですね。

ウェルシュ菌とは?

食肉や魚介類に付いている菌で、「芽胞(がほう)」と呼ばれる増殖しない状態になる時があります。増殖時は加熱すると死滅しますが、芽胞状態の時は、加熱調理しても、沸騰させても死滅しません。大きなお鍋で調理するシチュー、カレー、豚汁、スープ(いずれも具に肉類、魚介類が入っている場合)料理で発生しやすい食中毒です。

加熱後、冷めていくときに増殖する!

ウェルシュ菌は、煮込み料理ができた後、肉や魚介類の中心まで火が通っていて、すぐに食べる分には、さほど心配はいりません。しかし作り置きとして、加熱調理後に、温度が下がっていく時に、増殖しはじめるのです。特に37度前後が一番増殖しやすいと考えられています。生温かい状態が危険だと言えるでしょう。

肉や魚介類を使ったお料理は、一度、中までキチンと加熱しておけば、安心だというイメージがありますが、温め直す時は、低温でじっくりと食材の中まで再度、火が通るように時間をかけて温め直しましょう。強火で温め直すと、液体部分が沸騰するので、火が通っているように思いますが、食材の中は火が通っていないことが多いものです。

短時間で温め直したい時は、1食分ずつお皿にとって、電子レンジも適宜利用するなどして、「食材の中まで火を通す!」を徹底させましょう。

ウェルシュ菌に感染した時の症状と対応

潜伏期間は8~20時間で、腹痛と下痢の症状が現れます。重い症状になることは少なく1~2日で治ります。

ウェルシュ菌も、感染したら、速やかに体外に菌を出すのが得策なので、下痢止めは決して服用せず、その時はつらいかもしれませんが、菌を出してしまいましょう。脱水症状に陥るので、水分補給や保水性のある食品を補っておきましょう。

脱水症状の時に補いたい栄養成分、食品

他の食中毒の時と同じですが、以下のような食材を進んで食べておきましょう。

  • ネバネバ成分「ムコ多糖類」
    オクラ、モロヘイヤ、あしたば、ツルムラサキ、トロロ、納豆、なめこ、もずくなどネバネバした食品にはムコ多糖類が含まれています。胃腸の粘膜を修復したり、保水性もあるので、下痢や嘔吐で大量に水分が奪われた時に摂取しておきたい成分です。
  •  水溶性食物繊維「ペクチン」
    りんごや桃に多く含まれているペクチンは胃腸の働きを整えて、下痢などを改善する働きもあります。無糖タイプのフルーツジャムに使用されているので、ヨーグルトなどと一緒にいただきましょう。
  • タンニン
    緑茶や紅茶、シナモンに多く含まれているタンニンは、ポリフェノールの1種です。消化液の分泌を促すので、食中毒などで傷んだ胃を丈夫にしたり、下痢で痙攣しがちな腸を抑え、ゆるい便をかたくする働きもあります。

肉類や魚介類を使う煮込み料理は、翌日の方が味が浸み込んでいて美味しいですよね。神経質になる必要はありませんが、加熱不十分は、ウェルシュ菌が増殖するかも!? ということを頭の片隅にでも置いていただいて、冬のポカポカメニューを楽しんでください!