夏の熱中症対策には、連日、水分補給だけでなく、程度の塩分を摂るよう、ニュースでも注意喚起が報道されていますね。
塩の存在は私たちのカラダを支えるためにも、食べ物の調味や殺菌、発酵、食中毒予防などなど、なくてはならない存在です。
そんな塩の活用術のご紹介です。
カラダと塩と料理の関係
人間の汗も、涙もしょっぱいのは、体内にナトリウム(塩分)が存在するからですが、塩は生理的にも重要な物質です。
人間に限らず、生体内で、体液の濃度を調節したり、神経や筋組織の興奮などに作用しています。
食事のときに、一般においしいと感じる塩味の濃度は、人間の体液の浸透圧(0.85%)に起因しているので、この付近の塩分濃度で調味されているものが多いのです。
すなわち、私たちは、自分のカラダの塩分濃度と同じような塩分濃度のお料理をおいしいと思うのですね。
また、熱中症対策での水分補給も、少量でいいので、食塩が含まれていると、カラダに必要な水分を保持して、余分なものだけ排出するので、体内の水分バランスがよくなります。
マイボトルの方は、ミネラルウオーターや緑茶に一つまみ弱の食塩を入れてみましょう。
塩の調理特性とは?
普通の生活では塩でも食塩でも呼び名はどちらでもいいと思いますが、『調理科学』という学問上では「食塩」と呼ばれています。
その特性は以下の通りです。
- お料理に塩味をつける、調味料としての働き。
- 多量の塩分(5~10%)で微生物の繁殖が抑えられるので、防腐作用があります。漬物や梅干し、魚、肉などの塩漬け、加工食品に塩分が多いのはこのためです。
- 野菜や肉、魚に塩をかけてから、しばらく放置しておくと、浸透圧の作用で水分が引き出される。余分な水分を脱水した時に用います。
また魚や肉は、細胞中の水分が引き出される時に、臭みを除くことができます。 - プリンや茶わん蒸しなど、他の液体と混ぜ合わせた卵液に食塩を加えると、熱の力で食品を固める力を促進して、すだちにくくなります。
- パンを焼くとき、小麦粉の生地に食塩を添加すると、グルテンの形成を促進し、ふんわりと弾力のある焼きあがりになります。
- サトイモや貝類などのぬめりを取り除きます。
- 湯豆腐のゆで水に食塩(1%以下)を加えると、豆腐が縮んでしまうのを防ぐことができます。
- 果物や野菜ジュースはアスコルビン酸という酸化酵素があり、変色の原因になります。スムージーなどに少量の食塩を入れておくと、色止めになるでしょう。
お料理で使う時の特性は、だいたいご存知のことも多いですね。
塩分が多い食事は高血圧などの原因になりますが、保存性を高めたり、カビや菌などの微生物の繁殖を止める作用もあるので、適量を守れば、悪者ではなく、ありがたい存在だということがわかりますね。
衛生面でも使える塩の活用術
- ひのきのまな板や飯台(すし飯を作る道具)、木べらなどは、洗剤とスポンジでゴシゴシ洗うと、道具がいたみやすくなるので、荒塩をたっぷりめに手に取って荒塩をツブツブを利用して洗うとキレイになります!
- まな板の殺菌に、塩を全体にふりかけてから、お酢をかけると、化学反応を起こして、シューっと音をたてながら泡立ちます。その時に、まな板の傷口にたまった、汚れや菌が殺菌されるので、週に1度ぐらい、行っておきましょう。
- 歯に歯垢が溜まって来たな...と感じたら、荒塩を指にとって歯を軽くこすると、ツルツルに! キューティクルを守らなくてはいけないので、毎日に行う必要はありません。そして力を入れずに行ってくださいね。
塩は摂りすぎると生活習慣病につながりますし、足りないと脱水症状を起こしやくなるので、調整が難しいところですが、塩がないと生きていけないので、上手に活用して、生活に役立てましょう。