今週のお題「体調管理」
本日1月15日は『小正月』ですね。
昔は「成人の日」でもあり、とてもおめでたい日です。
この日は平安時代から「小豆粥を食べて無病息災を願う」という宮中行事があり、元祖、「体調管理」食ともいえるでしょう。
しかし、日本の文化をさほど意識しなくなった近年では、1月7日の「七草粥」はなんとか食べていても、1月15日の「小豆粥」は忘れ去られているようです...
小豆粥の由来や栄養価などをご紹介いたします。
小豆粥の歴史
もともと中国から伝わった文化ですが、古来の中国では、冬至の日に「疫病神をまつる」という目的から、小豆粥を食べていたそうです。
その文化が日本に伝わったのは平安時代の頃と伝わっており(諸説あり)、なぜか冬至ではなく、年の明けた小正月である1月15日に「無病息災」として宮中行事となり、身分の高い人たちの間で小豆粥が食べられるようになりました。
古い書物には「小正月に小豆粥を食べると1年の邪気を払い、万病を除く」という意味の記述が残っているそうです。
その風習は、江戸時代に入ってから、小豆の収穫量が増えたため、やっと庶民も口にするようになったそうです。
やがて戦後の昭和23年に1月15日は「成人の日」と制定されたので、「小正月に小豆粥を食べる」という文化は、印象が薄くなってしまいました。
※平成12年(2000年)から「成人の日」は、ハッピーマンデー計画で、1月第2週目の月曜日になりました。
筆者の頃は、まだ「成人の日」が1月15日だったので、いまだにその印象が強いのですが、時代は変わったので、古来の伝統に戻り、1月15日は「小正月で小豆粥の日」と記憶の上塗りをしたいところですね。
筆者が幼少の頃は祖母が「昔は15日に小豆粥を食べていたのよ」と言いながら、ぜんざい(お汁粉)やお赤飯など小豆の入ったものをふるまってくれた記憶があります。
小豆が選ばれた理由
さて、中国では冬至に小豆粥、日本では小正月、そして韓国でも冬至に「パッチュ」と呼ばれる小豆粥を食べる風習があります。
大切な行事の日になぜ小豆が選ばれたのでしょうか?
中国をはじめ、日本や韓国などのアジア諸国は、「赤」という色を生命や炎を意味する色としてとらえていました。
またアジア圏の古来の祈祷では、「赤」は悪霊や不浄を祓う (はらう)色として考えられており、小豆はその象徴だったようです。
そのため飲食物に小豆を入れると、霊力や呪力がこもり、無病息災が願えると伝わっていたのですね。
古来ではまだ科学が発達してなかったので、言い伝えや祈祷が重視されていましたが、現代の栄養学的にも小豆は「無病息災」食材として、体調管理に大いに食べれれるといいな、と個人的には思っております。
小豆粥の栄養価は?
小豆を和菓子としていただくと、小豆とほぼ同量の砂糖を必要とするので、糖質面でNGとする専門家もいらっしゃいます。
しかし、ご家庭で、お汁粉(ぜんざい)やおはぎなどを作る場合は、無糖のゆで小豆を買ってきて、砂糖をラカントやエリスリトールに変えたり、糖度は砂糖と同等でも、てんさい糖やハチミツに変えれば、オリゴ糖やミネラルが取れるので、食べ方を工夫して、取り入れればいいと思います。
それに小豆赤飯としていただけば、甘味が入らないので、砂糖の心配もいりませんね。
さて、小豆の栄養価ですが、小豆色と称される赤色の正体はポリフェノールの1種であるアントシアニンです。
アントシアニンは抗酸化作用が高いことで知られ、がん予防や血流改善、そして視力回復などにいいとされています。
またビタミンB群も豊富で、江戸時代にはやった脚気予防にもなります。
そして筋肉疲労などを回復されるといわれるロイシンなどのアミノ酸も含まれます。
他には、アンチエイジングや抜け毛予防となるサポニン、肌荒れや抜け毛、精神安定が期待できるナイアシンなども豊富です。
また小豆粥にした場合、一緒に炊いたお米よりアミラーゼなどの消化酵素が発生するので、胃腸に優しい食品となります。
白米は高血糖食品として問題視されていますが、お粥にすると低GI食品になるという利点もあります。
古来の人々は、まだアントシアニンなどが発見されてなかった時代ですが、本能的に、小豆には「無病息災」にふさわしい栄養価が含まれていることを知っていたのかもしれませんね。
即席!小豆粥の作り方
小豆粥は昔からの手法で、小豆もお米も1から処理していると、1日仕事になるので、冷ご飯を利用し、無糖の茹で小豆を使えば10分ほどで完成します!
【材料】3~4人分
- ご飯 2膳分
- 小餅 3~4個(薄いスライスタイプが好ましい)
- 無糖の茹で小豆 1パック(200g)
- 水 500cc程度
- 食塩 小さじ1/2程度(お好みで調整してください)
【作り方】
- 大きめのお鍋にご飯、小餅、茹で小豆、水を入れ、中火で、10分ほど煮込む。
※小餅が厚めの場合は、15分以上煮込んでください。 - 水分の調整やお餅の伸び具合、塩加減は、お好みで調整してください。
- 甘めがお好きな場合は、適宜、てんさい糖やラカントなど(分量外)を入れてもおいしくいただけます。
忙しい方は、市販のお赤飯やお汁粉でもいいので、1月15日の小正月には小豆を食べる風習を大切に、元祖「体調管理」食を後世に伝えていきたいですね。