腸内環境をよくしたい!
そんな時に思い浮かぶのが「食物繊維」ですね。
ただ「繊維」とつくように、やみくもに食べ過ぎても、腸が詰まります。
現在わかっているもので、食物繊維は6種類。
それぞれ特徴があるので、詳細を見てみましょう。
6種類の食物繊維とは?
ここでは総称として「食物繊維」と書いていますが、食物繊維の通常の分類としては、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2つです。
あとの4つは「食物繊維様」となり、体内で食物繊維と似たような働きをする物質たちです。オリゴ糖、糖アルコール、そしてレジスタントスターチとレジスタントプロテインです。
便宜上、以下、この6つを「食物繊維」と明記いたしますね。
食物繊維は、ヒトの胃や小腸で消化・吸収されず、そのままダイレクトに大腸に届くという性質を持ちます。
今までは、野菜や果物、大豆、ナッツ類などの植物と海藻からしか食物繊維は摂取できないと考えられていました。それが水溶性食物繊維と不溶性食物繊維です。
しかし近年、デンプンやタンパク質、糖からも似たような成分が次々と発見されています。
ご飯や雑穀などを一度炊くと(加熱)、その過程でデンプン生まれます。
今度は冷めていく際にレジスタントスターチという難消化性デンプンが現われ、それに食物繊維様の働きがわかりました。
同様に高野豆腐や酒粕に含まれるタンパク質からも難消化性のタンパク質が現われることがわかり、レジスタントプロテインと呼ばれます。
また、糖の中でも、糖アルコールやオリゴ糖も、食物繊維様の働きをすることがわかりました。
平成28年度の国民健康・栄養調査では、食物繊維の摂取が足りないことが報告されていますが、この調査では本来の食物繊維である、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維だけを対象に行われているので、今後は、あとの4つの「食物繊維様」の物質も含めるようになるかもしれませんね。
どんな食べ物に含まれる?
- 水溶性食物繊維
- βグルカン
大麦類や雑穀に含まれ、食後高血糖の抑制や、血中コレステロール値の正常化が期待できます。
少量で満腹感が出るので、食べ過ぎ予防にもなるでしょう。 - イヌリン
ごぼうや玉ねぎなどに多く含まれ、骨量や骨密度を守り、カルシウムの吸収を助ける働きがあります。 - ペクチン
野菜や果物に多く含まれる代表的な水溶性食物繊維です。食後高血糖の予防の他、腸管でコレステロールを包んで排出する作用が期待できます。 - アルギン酸
海藻類に多く、ネバネバとした粘性があります。これらが余分な塩分を包み、排出してくれるでしょう。 - グルコマンナン
コンニャクに多く含まれます。抗アレルギー作用の報告もあるので、花粉症対策にもいいでしょう。
- βグルカン
- 不溶性食物繊維
- セルロース
植物の細胞壁に含まれる成分で、玄米やゴボウに多く含まれます。便量のかさを増してくれるのですが、便秘がひどいときは、逆に便を詰まらせる可能性があります。 - リグニン
ココアやナッツ類に含まれ、植物の細胞壁に含まれます。血中のコレステロール値を下げる作用が期待できるでしょう。
- セルロース
- オリゴ糖
糖がいくつもつながった糖類で、小腸で消化されなかった部分が腸内のエサとなります。
てんさい糖を始め、蒸し大豆、加熱調理した玉ねぎやネギ類に多く含まれます。
加熱した玉ねぎやネギが甘いのはこのためです。 - 糖アルコール
糖の一種ですが、他の糖類のように甘味はなく、血糖値の乱高下もありません。アボカドやカリフラワーなどに含まれ、腸内環境のエサとなり、善玉菌を増やしてくれるでしょう。 - レジスタントスターチ
冷たいご飯、大麦、雑穀類に含まれます。
ご飯を炊くなど、一度高温で加熱調理し、その後冷めていく過程で現れるので、電子レンジで温めなおすと消えてしまいます。また、冷めると出現します。 - レジスタントプロテイン
今のところ、高野豆腐と酒粕に含まれることがわかっています。
他の大豆製品や肉、魚介類では見つかっていません。
さいごに
長くなってしまうので、食物繊維全体の働きについての詳細は、明日、お届けいたします。
野菜だけで食物繊維を摂るのは、種類をそろえるだけでも大変ですよね。
その分、調味料や油の量が増えてしまうこともあるので、冷たい状態のご飯や高野豆腐も、「食物繊維の摂取になる!」と思って、上手に活用すると、腸内環境もよくなっていくでしょう。