近年のIT化で、視力の悪い人が増えていますね。
視力だけならまだしも、ドライアイなど目の表面が傷つくと、やがて、内部の網膜などにダメージを受け、網膜症や白内障、緑内障などの目の疾患に発展するケースもあります。
アメリカの最新研究で、網膜に異常があると、将来、認知症になりやすいこともわかってきました。
詳細を見てみましょう。
認知機能は網膜の血管がカギ?
アメリカのジョン・ホプキンス大学やウィスコンシン大学医学部・公衆衛生学校などの合同研究で、網膜に異常がある人は、将来の認知症リスクが高まる、ということがわかりました。
研究対象は、50~73歳の男女約10,000人で、20年間、追跡調査が行われました。
研究では、網膜の血管に、様々な異常が起こる「網膜症」を眼底検査しています。
- 軽度の網膜症:3%
- 中等度・重度の網膜症:合計2%
という結果となりました。
網膜症と認知機能の関係は?
その後、網膜症が見られた対象者に対して、認知機能テストを行ったところ、20年の追跡調査の結果、「中等度・重度」の網膜症の人たちは、正常な人たちと比べて、認知機能が著しく低下していました。
その中でも、網膜出血を起こしている人は、記憶力、言語能力、注意力、遂行機能などがすべて低下していたのです。
これらは網膜の血管の完全性が、失われつつあることを物語っています。
今の段階では、上記のことがわかったという報告ですが、今後、この研究報告は、目の画像検査などで、認知機能の低下に関わる血管の病変を発見する際に役立つと考えられています。
※参考『Neurology』 2018年2月
目を健康にする食べ物とは?
ここからは、上記の論文発表とは違う内容ですが、栄養学の観点から、目を健康にする食べ物を見ていきましょう。
特に網膜の機能や健康を維持する食べ物です。
目の網膜には「ロドプシン」という物質が存在しますね。
食べ物から補っておきたい栄養素は主にビタミンAです。
ビタミンAは、ロドプシンに直接働きかけ、涙の量を増やしたり、目の乾燥を防ぐ作用があるのです。
またアントシアニンもロドプシンの働きを高める作用があります。
これにビタミンB群もあわせて摂取すると、視神経の働きを助け、視力低下や目の疲れを予防する効果が期待できます。
こうした毎日の食事の小さな積み重ねで、目の健康を保ち、認知機能を守ることにもつながるのですね。
ビタミンAやアントシアニンを含む食べ物リスト
- ビタミンA
ウナギやレバー、緑黄色野菜(β-カロテン)に多く、別名「目のビタミン」と呼ばれるほど、目に関わりの深いビタミンです。
緑黄色野菜は主に、にんじん、かぼちゃ、ほうれん草、小松菜、モロヘイヤ、オクラ、トマト、ブロッコリー、ピーマン、パプリカなどです。 - アントシアニン
抗酸化作用のある機能性成分で、ポリフェノールの1種です。
目の網膜にあるロドプシンの再合成を活性化したり、疲れ目の回復、目の機能向上などが期待できます。
ブルーベリー、プルーン、紫キャベツ、紫玉ねぎ、ビーツ、ぶどう、赤じそ、なす、黒豆など紫色の野菜や果物、豆類に多く含まれています。 - ビタミンB群
キノコ類、豚肉など
ビタミンB群は全部で8種類あり、それぞれが連なって働き、多くの栄養成分や機能成分が、体内で働きやすいよう、補酵素として働きます。
メインのビタミンAやアントシアニンと共に食べておきましょう。 - その他、ムコ多糖類など
ドライアイの治療では、ヒアルロン酸が含まれた目薬が処方がされますが、体内のヒアルロン酸量を増やしてくれる食べ物も取り入れておきましょう。
オクラ、モロヘイヤ、つるむらさき、なめこ、納豆、長芋、里芋などの野菜や、もずくなどの海藻類です。
これらはネバネバ成分のムコ多糖類が含まれ、体内のヒアルロン酸量を増やす働きがあると考えられています。
さいごに
こうしてみると、珍しい食べ物は入っていないので、野菜を中心とした食生活に、有効成分の入った魚介類や果物をプラスすると、目の健康が保て、その上、認知機能の低下も防げそうですね。
目の健康被害は、社会のIT化で、年々、若年齢化しています。
若年層の方でも、目の血管の機能が低下すると、記憶力や注意力が散漫となるかもしれないので、気を付けておきましょう。