肝臓は本来、老化しにくい臓器のはずなのですが、食の欧米化に伴い、コッテリとした脂質の多い食事や、スイーツやパン食などの糖質の摂りすぎ、そしてお酒で、肝臓を傷めたり、脂肪肝になる人が年々増えていますね。
そのカラクリを知って、生活習慣病予防に役立てておきましょう。
肝臓はどんな臓器?
肝臓は、脳と同じぐらいの大きさがありますが、脳よりも重量が重いので、人間の臓器の中では一番大きな臓器ともいわれています。
肝臓は、他の臓器よりも、細胞の再生能力が高いので、肝臓が老化して、私たちのカラダにダメージを与えることは、本来なら少ないはずなのです。
それなのに、肝臓の働きを低下させている原因は、肥満とお酒の飲みすぎだと考えられています。
肥満の原因は糖質と脂質の摂りすぎですよね。
スイーツや白く生成された小麦粉からできたパン類などから摂る糖質は、肝臓でグリコーゲンに変換されて蓄えられます。
しかし、グリコーゲンとして保存するには上限があるので、それを超えた糖質は、余剰分の脂質と同様、中性脂肪に変わって、体内に蓄積されることになるのです。
これが「太る」ということでもあります。
中性脂肪がさらに蓄積されていくと肥満となり「脂肪肝」のリスクも高まるでしょう。
脂肪肝の危険性とは?
脂肪肝になると、肝臓がんをはじめ、他の臓器のがんの罹患率も高くなることがわかっています。
脂肪肝は自覚症状がないので、気づいた時にはかなり悪化しており、黄疸(おうだん)などの症状が出て、やっと気づくという具合です。
黄疸が出た時には、既に「肝硬変」などの疾患を引き起こしているケースが高いので、太りやすい方は、会社の健康診断だけではなく、定期的に血液検査をしておくと、早期発見につながるでしょう。
コッテリした揚げ物や、洋食、そして洋菓子やパン食を好む方は、注意しておきたいですね。
脂肪肝は2タイプある
脂肪肝は、飲酒習慣が原因となる「アルコール性脂肪肝」と、飲酒をしなくても発症する「非アルコール性脂肪肝」の2つに大別されます。
前述の糖質や脂質過多の場合は、後者の「非アルコール性脂肪肝」です。
自覚症状がないまま進むので、進行はやや遅いといえます。
しかし、前者の飲酒習慣がある場合の「アルコール性脂肪肝」は進行スピードが速く、肝臓にダメージを与えます。
また、肥満ではなく、「お酒を飲んだら、ご飯を食べない」タイプの方は、スリムな人が多いですが、こういう方は体型に関わらず「アルコール性脂肪肝」になっている可能性が高いので、一日の飲酒量を調整しておきましょう。
患者数で言うと、肥満が原因の「非アルコール性脂肪肝」の方が人数が多くなりますが、お酒の飲みすぎは、早いスピードで肝臓を傷めるので、気を付けたいですね。
お酒が原因の脂肪肝の仕組み
お酒を飲む頻度が高いと、肝臓を傷めるスピードが速いのは、肝臓に、アルコールや薬物、アンモニアなどを解毒する機能があるからです。
アルコールを肝臓で無毒化するのに、多大なエネルギーがかかるので、毎日の飲酒となると肝臓にかなりの負担をかけているのが、目に見えるようにわかりますよね。
無毒化されると、肝臓は、人体に有害なアンモニアを尿素に変えて、腎臓経由で体外に排出する働きがあります。
肝臓にダメージを受けると、他の臓器にも悪影響が出ますが、腎臓もその1つなので、他の臓器を労わるためにも、お酒の飲みすぎは気を付けておきましょう。
適正な飲酒量とは?
肝臓が1時間で分解できる純アルコール量は、体重の1割程度と考えられています。
ご自分の体重に0.1をかけた数値ですね。
ご自分がよく飲むタイプのお酒の「純アルコール量」を予め計算しておき、アルコール処理にかかる時間を覚えておきましょう。
公式としては、
アルコール度数 ÷ 100 × 飲んだ量(ml) × 0.8
=純アルコール量(1時間当たり)
※引用『酒好き医師が教える 最高の飲み方』葉石かおり著
となります。
ゴールデンウィークで家族や友達が集まる機会も多いと思いますが、お酒をすすめられても、チビチビゆっくりとお酒をたしなむようにしておきたいですね。
さいごに
肝臓の疾患は、お酒が原因と思われている方も多いですが、和食より、洋食を好む人は脂質や糖質の摂りすぎから、肝臓を傷めているかもしれないので、食生活全般を見直しておきましょう。