年々、長時間労働などでストレスを抱え、うつ病などの精神疾患を発症している人が増えていますね。
本日は、ストレスがどのようにカラダへと影響し、心身に不調を来してしまうのか、その原因やカラダのメカニズムなどを見ていきましょう。
ストレスの原因は大きく2つ
ストレスの原因は大きく2つに分かれており、人生を左右するような出来事と、日々重なる小さな悩み事に大別されています。
- 人生を左右するような出来事
主に環境の変化によるストレスで、お祝い事や嬉しい出来事も大きく環境が変わるのでストレスとなります。
- 災害
- 会社の倒産や失業
- 家族の死
- 失業
- 借金
- 結婚・離婚・別居
- 妊娠・出産
- 入学・卒業
- 就職・転職
- 日々積み重なる小さな悩み事
自分でも気づかないうちに、負担となっているストレスで、積み重なってくるとやがて大きなストレスとなります。
- 金銭のやりくり
- 満員電車
- 苦手な人とのつきあい
- 仕事上のミス
- 騒音
- 親子げんか・夫婦げんか・兄弟げんか
- 育児・介護
- 過労
- 人間関係・環境の変化
- プレゼン・報告・ノルマ
- 受験
労災認定を受けているストレスも増加中
厚生労働省の「過労死等の労災補償状況」(平成28年度)によると、長時間労働によるストレスが原因の精神疾患の申請は全国で1,500人以上にのぼり、過去最多となっているようです。
平成13年度の同「精神障害等の労災補償状況」では、265名の申請でしたが、ここ15年ほどの間に6倍も増えていることになります。
申請する勇気がない人なども想定されるので、この数は3~4倍になるのではないか、とも推測されています。
ストレスはどのように心身に不調をきたすのか?
昔から「病は気から」と言いますが、ストレスが病気へとつながっていくのは、どのようなメカニズムになっているのでしょうか?
3つの経路があると考えられています。
- 生理的経路
自律神経やホルモン、免疫機能など、カラダに備わった機能がストレスに影響して心身に不調を来す経路です。
心身にストレスがかかると、自律神経の1つである交感神経が緊張状態に陥り、血圧が上がってしまいます。
また、アドレナリンやコルチゾールなどのホルモンが分泌され、その状態が長く続くと、血圧や血糖値などが上昇してしまい、血管にも影響してしまうのです。
また、胃酸の分泌が増えて、胃潰瘍や十二指腸潰瘍にかかる場合も出てきますし、長期化すると免疫機能が弱まって、様々な病気や不調を招くこともあります。 - 行動的経路
ストレスが溜まると、ヤケ酒、ヤケ食いに走るといった行動が現れてきます。
過度の飲酒は主に肝臓系に支障をきたし、食べ過ぎは過体重や糖尿病などのリスクが高くなり、生活習慣に影響します。 - 情動的経路
ストレスが原因でイライラや不安、言い知れぬ不安感などが襲ってきますね。
これは脳の深いところにある、「大脳辺縁系」という感情や記憶を司る部分からそういう状態を生み出していると考えられています。
ストレスで脳のこの分野に影響が出ると、感情のコントロールがうまくできなくなるのですね。
そうすると、うつうつとした気分や不安が引き起こされるというメカニズムになっています。
ストレスによって現れる不調や病気とは?
ストレスがどのようなメカニズムで不調を来すのかわかったところで、どんな不調や病気につながるのかも知っておきましょう。
- 頭痛、腹痛、下痢、かぜなど比較的すぐに治りやすい症状
- 慢性頭痛、腰痛、関節痛など慢性的な痛みを生じる不調
- うつ病、不安障害、睡眠障害、自律神経失調症などの精神疾患
- 高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病
- 脳卒中、心筋梗塞
- 胃潰瘍、十二指腸潰瘍、過敏性腸症候群など消化器系の疾患
- 気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎などアレルギーを生じる疾患
- 甲状腺機能亢進症、関節リウマチ、がんなど免疫系が影響する疾患
さいごに
本日は、長くなるので、ストレスとそれに伴う不調や病気についてをご紹介しました。
ストレスは軽度なものなら、症状も一過性ですぐに治るかもしれませんが、ストレスを長期にわたり溜め続けると、精神疾患をはじめ、身体の命を脅かす疾患にも発展することがわかっています。
行動や気分の切り替えなど、ストレスを溜めない工夫が必要となるでしょう。
明日は、ストレス軽減の具体策などをご紹介いたします。