20歳をさかいに、ヒトの骨密度は、下降線をたどるので、日頃の食事からカルシウムやビタミンD、鉄、タンパク質など、関連栄養成分を補って、骨密度とともに、骨の強度も保たなければいけません。
また、骨は、運動習慣を取り入れて、その周りについている筋肉とともに、ある程度鍛えておかなければいけません。
運動も栄養も、骨にとって大切な要素ですが、運動だけ頑張っても、あまり意味がないことがわかってきました。
骨の強度はやはり栄養の方が大事?
スポーツジムに通っていたり、マラソンやヨガなど、運動習慣を取り入れている人は、「運動をしているから大丈夫!?」と、その反面で好きな物ばかり食べて、栄養が偏っている場合があります。
確かに運動を取り入れている人は、カラダが締まっていますが、栄養が偏っていると、ケガをしやすくなったり、意外と風邪を引きやすく、肌荒れもひどかったりします。
それは骨に必要な栄養が足りていないからだとも考えられますね。
アメリカのミシガン大学では、まだ動物実験の段階ではありますが、マウスに、骨形成に必要な栄養成分を含んだエサを与えて、経過を観察し、やはり骨形成には運動よりも栄養が大切なことがわかったそうです。(運動がムダという意味ではありません)
運動を辞めても栄養バランスが良ければ骨強度は高い?
この研究では、雄のマウスに16週間にわたって、次のような食事&運動の組合せでグループ分けし、骨強度を調べました。
- 【A】運動なし・ミネラルの多いエサ
- 【B】運動なし・ミネラルの少ないエサ
- 【C】運動あり・ミネラルの多いエサ
- 【D】運動あり・ミネラルの少ないエサ
この4つです。
その後、8週間たった時点で、【C】と【D】の運動ありのグループに、運動をやめてもらい、さらに8週間、経過を観察しました。
その結果、【C】のグループのマウスは、常にミネラルの多いエサを食べていたので、途中で運動をやめても、骨強度が維持されていたそうです。
研究者たちは、マウスとヒトの生体構成は大変似ていることから、この現象が人間に当てはまると仮定するなら、ケガや高齢で運動ができなくなったとしても、骨形成に必要なミネラルを、食事からキチンと補っておけば、骨の強度は保たれる、と推測しています。
カルシウムのリンが不足しなければ骨強度は保たれる?
この研究では、マウスのエサに、主にカルシウムとリンを十分に与えたところ、骨密度と骨強度が維持できたことがわかりました。
ただし、動物実験の段階なので、これが必ずしもヒトに当てはまるわけではありません。
しかし、多くの研究報告で、マウスの動物実験でいい経過が見られたものは、ヒトも同様程度の効果が期待できるケースが多いので、大いに期待できそうですね。
※参考:『プロスワン』2018年9月
さいごに
ヒトの場合、カルシウムと共に、タンパク質や鉄、亜鉛、ビタミンD、ビタミンK、ビタミンCなどを一緒に摂ると、カルシウムが骨に貯蔵されるのを助け、骨密度を守る、とされているので、この辺りの栄養成分を食事から補うようにしましょう。
魚介類やレバー類、きのこ類、葉野菜などを、毎日の食事からまんべんなく摂っていると、カバーできるでしょう。
カルシウムは小魚や牛乳を思い浮かべがちですが、チーズやナッツ類、納豆、小松菜、水菜などからも摂取できます。