今週のお題「冬の体調管理」
高血圧と言うと、塩分過多の食事や、甘い物の摂りすぎのイメージがありますが、亜鉛が欠乏することでも高血圧になることが、アメリカの最新、腎臓生理学の研究で明らかになってきました。
日本でも、高血圧に苦しむ人口は右肩上がりに増えているので、該当する方は、要チェックです。
亜鉛不足と腎臓、高血圧の関係とは?
亜鉛が不足すると、腎臓のナトリウム代謝に影響するため、その影響で高血圧を引き起こすことが、アメリカのライト州立大学などの研究で明らかになってきました。
亜鉛不足は、一般に、Ⅱ型糖尿病や慢性腎疾患を引き起こすと考えられています。
腎臓には、尿中にナトリウムを排出したり、また、再吸収を行ったりします。
そして腎臓には、「塩化ナトリウム・コトランスポーター」という経路があって、この経路は血圧の制御に重要な役割があるのです。
そのため、尿検査などで、尿中のナトリウム濃度が低いことがわかると、それは「腎臓が正常に機能していない」ということを意味し、すなわち、「血圧が高い」ということになるのです。
こうした現象は、亜鉛が不足することでもたらされる腎機能の低下ということです。
亜鉛の摂取量が増えると高血圧は改善?
ライト州立大学の研究では、亜鉛欠乏の雄のマウスと健康なマウスとを比較して、経過を観察しました。
亜鉛欠乏のマウスは高血圧を発症しており、同時に、尿中のナトリウム量も低下していました。
一方の健康なマウスでは、どちらの現象も見られなかったということです。
その後、亜鉛欠乏のマウスに、亜鉛を多く含んだエサを与えると、血圧が低下し、尿中のナトリウム排出も増加したようです。
尿中のナトリウム量が増えると、一見、カラダに悪そうに思えますが、我々が食事から摂った余分な塩分を、腎臓が処理して、尿中に排出し、体内のナトリウム濃度を正常に保ってくれているのですね。
この結果を見て、研究者たちは、亜鉛の摂取によって、まず腎機能が正常化し、そしてカラダの高血圧状態が改善されることが、何よりも大切なことだと述べています。
※参考:『米国生理学雑誌:腎臓生理学』2019年1月
亜鉛入りの食事を摂ろう!
今の時代、足りない栄養素がわかると、気軽にサプリメント摂取できますが、今度は摂取過多の心配も出てくるので、やはり毎日の食事から補いたいですよね。
日本での亜鉛の推奨量は、男性では18~69歳が12mg、女性では12歳以上で9mgとなっています。
亜鉛を多く含む食品としては、冬の味覚である牡蠣に豊富で、100g中13.2mgも入っています。
牡蠣フライの1食分(5~6個)で補えます。
しかし、毎日、牡蠣を食べるわけにはいきませんので、以下の食材も参考にして摂取みてください。
ウナギのかば焼き、ほたて、しじみ、あさり、レバー類、高野豆腐、納豆、アーモンド、ピーナッツ、ゴマ、海苔などです。
さいごに
高血圧に悩む方は、もしかしたら亜鉛不足が原因しているかもしれませんね。
食塩量を減らすことも大事ですが、亜鉛を含む食材を選んで食べると、改善していくかもしれません。
冬は冷気で寒い場所と、暖房やお風呂など暖かい場所との温度差で、急に高血圧状態になることもあるので、日頃の食生活で万全の体調管理を!