全粒粉の小麦粉類や玄米、そして野菜や海藻、豆類から採れる食物繊維がカラダにいいと言われ出してから久しくたちますが、漠然と「健康に良さそう?」、「腸内改善に良さそう?」ぐらいのイメージしかないことでしょう。
しかし、アメリカの最新腫瘍研究で、これらの食べ物には、「肝がん」のリスクを低下させる働きがあることがわかってきました!
詳細を見てみましょう。
肝がんとは?
「肝がん」とは、肝臓の細胞がガン化して悪性腫瘍となったもので、「肝細胞がん」とも呼ばれます。
肝臓の中を通る胆管がガン化した場合は「肝内胆管がん」または「胆管細胞がん」と言います。
前者と後者では治療法が異なるので区別されていますが、今回の記事では前者の「肝がん(肝細胞がん)」のリスクを低下する全粒穀物と食物繊維のお話となります。
肝がんと全粒穀物、食物繊維の関係とは?
アメリカのブリガム婦人病院などの共同研究で、24年にも及ぶ大規模調査の結果より、全粒粉の穀物と食物繊維の摂取について解析されました。
対象者は看護師の健康研究と、医療専門職に就いている人たちの追跡研究、この2つのどちらかに参加している約13万人です。(女性約8万人、男性約5万人、平均年齢63歳)
調査では、全粒粉の穀物と食物繊維の摂取頻度の食事調査を4年ごとに実施し、これらの食品と「肝がん(肝細胞がん)」のリスクの関係を調べました。
24年間の追跡調査の間に、対象者の中に141名が肝細胞がんに罹っています。
以下、各食品の摂取増加と肝細胞がんの関係について結果が出ています。
- 全粒粉穀物
全粒粉穀類の摂取を増やしている人たちの間では、有意に肝細胞がんのリスクが低下していることがわかりました。 - ブラン(小麦ふすま、胚芽)
ブランの摂取を増やしている人たちは、肝細胞がんのリスクが低下傾向ではありますが、有意というほどではなかったそうです。 - 穀類の食物繊維
これも肝細胞がんのリスクが低下傾向でしたが、有意というほどではなかったそうです。 - 野菜と果物の食物繊維
こと肝細胞がんのリスク低下に関しては、特に良い影響も悪い影響も与えていなかったそうです
全粒粉穀類と、穀類由来の食物繊維が肝臓にいい?
この研究の結果、こと肝細胞がんのリスク低下につながり、肝臓の細胞たちにいい影響を与えそうな食品としては、全粒粉穀物全般ということが明確にわかったと研究者たちは述べています。
※参考:『JAMA腫瘍学』2019年2月
欧米の食事は日本のように「主食」という概念はありませんが、やはりパンやピザ、パスタなど小麦粉ベースの食事が占める割合は高いことでしょう。
これが白く精製された小麦粉だと肥満や肝臓を悪くしてしまう結果となりますが、これらを全粒粉の小麦粉などにすれば、健康度はかなりUPするでしょうね。
日本でも食の欧米化が進み、何日もお米を食べずに生活している人も多くいます。
パン派の方は、全粒粉ブレッドや、玄米粉を使ったパンなども、一般のスーパーで買えるようになってきたので、利用するようにしましょう。
さいごに
肝臓はヒトが持つ最大の臓器と言われており、お酒の飲みすぎや、スイーツの食べすぎで、痛めてしまう人が多いものです。
パンを主食としている人は全粒粉のパンやブランパンなどを利用して、ご自分の肝臓を労わってあげましょう。
肝臓にはしじみやあさりがいいと言われていますが、この研究結果で、また1つ、肝臓にいい食べ物がわかりましたね。