ここ数年、TVの健康番組や健康雑誌などでも時々取り上げられるようになった「体内時計」。
私たちのカラダは、自分で意識していなくても、「時計遺伝子」が刷り込まれているので、朝日が昇ると起きて、食事をして、夜になると眠るという習性が備わっていますね。
その自然のメカニズムに反すると、カラダは悲鳴を上げて、病気になるのですが、イギリスの最新細胞研究で、食事に関するものが発表されました。
詳細を見てみましょう。
食事は内容よりも「いつ食べるか」が大事?
イギリスの国立MRC分子生物学研究所などの共同研究によると、ヒトは「何を食べるか」よりも「いつ食べるか」の方が重要なのだそうです。
冒頭で述べたように、ヒトは「時計遺伝子」を持っており、「体内時計」と言われるように、消化や代謝、睡眠など、だいたい決まった時間に行うと考えられています。
しかし、忙しい現代、そして職種によっては残業や夜勤、また昼夜反転の生活を強いられるケースもあるので、健康を維持するのが難しい人も多くなっているのです。
そこで研究チームは、不規則な生活となる人たちの健康を守るため、マウスを用いて、体内時計の調査を開始しました。
私たちの行動は細胞同士の働きによるもの?
私たちの「体内時計」は「概日リズム」と呼ばれるリズムがあります。
マウスによる実験では、食事をすると、その後インスリンというホルモンが分泌され、『PERIOD』と呼ばれる細胞が持つ時計遺伝子に、日中、食事から得た必須アミノ酸を刺激して、他の細胞の概日リズムを左右していることがわかったのです。
すこし難しいお話になりますが、人間には約60兆個の細胞がありますが、個々の細胞は時計を持っていると考えられています。
そして細胞同士の相互作用によって、私たちのカラダ全体の24時間のタイミングを提供しているのだそう!
小さな細胞の分子の集まりが、連絡をとりあって、私たちの思考を始め、あらゆる行動や愚行(?)を作動していたのですね。
食事のタイミングは日中の光も大切?
夜は「概日リズム」に則ると、眠る時間帯ですが、生活が不規則な人は、夕食の時間が遅かったり、真夜中に食事をすることになります。
そうすると、カラダは「誤った時間に食事をした」として概日リズムが大きく乱れ、肥満を始め、高血圧や心臓疾患、糖尿病などの生活習慣病を引き起こします。
この悪影響を軽減するには、不規則な生活であっても、日照時間を少しでも長く過ごし、そして本来ヒトが眠っている時間帯に食事を摂らないことが大切なのだそうです。
夕食時間が遅くなってしまう人は、お腹が空いていても夕食をとばして、先に睡眠時間を確保し、起床後、食べるようにするといいでしょう。
※参考:『細胞』2019年4月
さいごに
筆者は、たまに残業などで遅くなると、どんなにお腹が空いていても21:00以降は食べないと以前から決めています。(外食時や宴会などは除きますが……)
たまに遅くなる日がある程度ならまだいいですが、毎日の決まった食事の時間が21:00以降の人は、食事を摂るタイミングを改めてみましょう。