野菜&果物の美養栄養学

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肥満高齢者には低炭水化物ダイエットがいい? アメリカ・研究

日本でも少子高齢化社会が問題となっていますが、介護食についても様々な試行錯誤が繰り返されています。
特に高齢の肥満者については、世界中で問題となっており、糖尿病や心疾患などの懸念もあります。
アメリカで最近報告された、肥満の高齢者についても食事療法はどうなっているのでしょうか?
詳細を見てみましょう。

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肥満の高齢者には低炭水化物食が◎!?

アメリカのアラバマ大学バーミンガム校の研究により、BMI30を超える肥満の高齢者を対象に、低炭水化物食を8週間、食べてもらい、経過が観察されました。
その結果、体組成や代謝の健康の改善が認められたとのこと!

肥満の高齢者は糖尿病や心血管リスクが高い?

高齢者の肥満は、単なる「太りすぎ」という問題だけではなく、Ⅱ型糖尿病や心血管疾患など、心代謝性疾患の発症リスクが非常が高くなります。
また、総脂肪量だけではなく、腹腔内や骨格筋など、特定の部位への脂肪蓄積が、こうした疾患発症リスクの上昇につながっているのです。

8週間で改善?

低炭水化物食は、様々な問題も生じています。
しかし、この研究では、あえて、高齢の肥満者に8週間だけ実践してもらったのです。
そうすると、エネルギー制限を設けず、高脂肪食を食べても、脂肪蓄積量を減少させつつ、徐脂肪体重の維持にもつながったということです。
そのため、インスリン感受性や血中脂質といった心代謝性疾患に関連する危険因子の改善にもつながったそうです!

実際、8週間の介入後、体重を維持するヘルシー食を推奨していましたが、低炭水化物食を食べていた時のほうが、体重と体脂肪の減少率が高かったそうです。

高齢者には卵の摂取も大切?

この研究では、低炭水化物食の食事療法を実践している間、対象となった高齢者には、卵を1日に3個は食べてもらうよう、指示していました。
卵はコレステロール値を上げると思われているが、実際、コレステロール値に影響することはなく、高齢者の体脂肪を落としてくれたようです。
主に腹腔内脂肪と骨格筋内脂肪の減少につながったようです。

全体としてはⅡ型糖尿病予防に?

低炭水化物食は、別名「糖質オフ食」とも呼ばれていますが、もともと糖尿病の治療食であっただけに、今回の研究では、Ⅱ型糖尿病のリスク低下につながるインスリン感受性の改善が見られました。
そして心血管疾患リスクの低減につながる血中脂質の改善も認められた、とのことです。

高齢者の肥満改善は糖質オフが一番安全?

ここ10年程の糖質オフブームで、近年では様々な低炭水化物食による有害な報告が上がっています。
確かに、健康な若年層が、安易なダイエット目的で取り入れると、栄養バランスが崩れます。
しかし、研究者たちは、肥満で悩む高齢者が、安全に体重や体脂肪を落とすには、低炭水化物食が一番安全で治療食の選択肢の1つになりうる、と述べています。
あくまでも、「高齢者肥満」改善の見解からで、健常者にすすめているものではありません。

卵摂取の良しあしは?

卵は、コレステロール値を上げたり、お子さんの卵アレルギー問題など、食べ過ぎると悪い食品だと思われている傾向があります。
その後、卵について、世界中で多くの研究報告が上がってきた結果、近年では、健常者においては卵の摂取量を増やす(1日3個ぐらいまで)ことが推奨されるようになりました。

アメリカの食事ガイドライン諮問委員会では、

卵は、タンパク質、コリン、ビタミンB12、セレン、ビタミンD、ビオチン(他多数)といった多くの必須栄養素の重要な供給源です。
成長や筋肉量の維持に重要な食材であることが、この研究からもわかりました。

と述べています。
※参考:『栄養と代謝』

さいごに

糖質オフの弊害は、近年、多くの報告が上がっています。
しかし、この研究のように、期間をきちんと決めて、目的をもって実践する分には、病気改善につながるので、慎重に取り入れたいですね。
もし、低炭水化物食を取り入れる場合は、卵も補って、必須栄養素を補うようにしましょう。