おはようございます。
昨日の読書は浅倉秋成さんの『六人の嘘つきな大学生』でした。
「本屋大賞」5位、「このミステリーがすごい!2022年」8位にランクインした話題作。
こちらもAudibleで耳読しました。
2011年に大学生であった6人の男女が、とある新興IT会社の最終面接に残ります。
会社から6人でのグループディスカッションを求められ、全員内定を目指して、友情が芽生えます。
しかし、会社から突然、この年の3月に発生した東日本大震災の影響で、採用枠が6名から1名になったと告げられ、友情の芽生えていた6名は、ライバルに!
新興IT企業なので、初任給は破格の50万円!
名門一流会社の内定をもらうより、当時の学生にとっては、憧れの就職先でした。
ライバルを蹴落とすために、互いのあら捜しが始まり、最終面接の会場では、6名が会議室に閉じ込められ、面接官はモニター画面で中の様子を見ているという形式がとられました。
その会議室に入ると、6人の学生一人一人に宛てた、なぞの封筒が……。
最初に開けた学生の高校時代の過去と証拠写真。それを見て、態度が豹変する様……。
若い学生が、過去の事実と向き合ったり、その事実にどう対処するのか? どこまでが嘘で、どこまでが事実かを見極めたり。
内定結果は、その6人の投票結果によって決まります。
この就職を勝ち取ったものが、写真を置いた犯人なのか?
警察沙汰の殺人事件は起こらない、異質のミステリーでした。
6人の過去写真を置いたのは誰か?
2011年の最終面接の様子と、10年後の現在の6人の様子がカットバック形式で描かれています。
6人とも、自分以外の特定の誰かを犯人だと思っており、その中の一人は、2年前に他界しています。
遺品の中からも、やはり自分以外の特定の誰かが犯人だと綴られていました。
話が2転3転して、最期まで退屈することなく楽しめました。
章が変わるたびに、「で、誰なの?」とワクワク感が募る筆力も素晴らしいですね。
社会に出る前の学生たちの過去や苦悩、警察沙汰にならない程度の「人に言えない小さな犯罪」など、若いゆえの葛藤の描き方が印象に残りました。
ミステリー小説も、若い世代の新しい感覚で、どんどんと改良されていきますね。
今までは、アガサ・クリスティーなど古典ミステリーばかり読んでいましたが、視野を広げて、毎日1冊を目標に、いろんな作品に触れていきたいと思います。
ありがとうございました!