今週のお題「冷やし◯◯」
おはようございます。
昨日のランチは、フォーを茹でて、氷水で冷やし、《冷やしそうめん風フォー》としていただきました。
錦糸玉子や、キュウリ、トマト、レタスなどの夏野菜、蒸し鶏とともに!
米粉でできたフォーは、麺つゆや海苔ともあいますね。
グルテンフリー麺フォーの新しい食べ方が、また一つ発見できました。
江戸川乱歩『緑衣の鬼』読書レビュー
本日の読書レビューは乱歩先生の『緑衣(りょくい)の鬼』です。
学生の頃に読んだはずですが、犯人が誰であったのか、すっかり忘れていました。
そのため、はじめて読んだような新鮮さがありました!
時は大正時代中期。
当時の代々木上原は、まだ雑木林が多く、裏淋しい住宅街であったそうです。
そこに、一軒の屋敷があり、わりと名の知れた童話作家夫妻が住んでいました。
婦人は、たいそうな美人でしたが、童話作家との結婚は、育ての親である伯父からは、反対されていました。
婦人の伯父には、一人息子がおり、兄妹のように育ちましたが、やや精神を病んでいました。
また、従妹に異常な愛情を持っており、童話作家と結婚してしまうと、執拗な嫌がらせをするようになったのです。
婦人の従兄は、精神を病んでいるうえに、着る服から、室内の装飾品や壁、持ち物に至るまで、緑色に統一するクセがありました。
薄気味悪い性癖があるため、伯父は、息子のために一軒家を借りてやりましたが、そこに雇った婆やの髪も、緑色に染めさせるほどの徹底ぶり!
婦人は従妹のことを《緑衣の鬼》と称して、恐れていました。
ただし、服装は、緑色、ということを除いては、海外の探偵小説に出てくる犯人のように、背広とマント、帽子、革靴と紳士風の装いで、シルエットはスマートです。
婦人が銀座まで買い物に行った際、有名百貨店の外観の壁に、シルエットを大写しにして、街を騒然とさせます。
そこへ、婦人の幼馴染であった新聞記者が通りかかり、彼女を助けます。
恐怖に震えながら、婦人が代々木上原の自宅に帰ると、ついに、緑衣の鬼の嫉妬が爆発したのでしょう! 夫が殺害されてしまいました。
婦人を家まで送っていた新聞記者も、死体を目撃しますが、その瞬間、頭を強く叩かれ、気絶します。
目が覚めた時には、血潮の跡は残っていますが、遺体は跡形もなくなくなっていました。
婦人は、別室にいて、無事でした。
婦人は、避難のため、伯父と一緒に、とある地方の別荘に避難します。
伯父も、息子の異常性格を恐れていました。
しかし、せまい田舎町のこと。
観光用のシーズンオフの水族館に、いつも緑の洋服を着ている管理人が雇われた、という噂が流れ始めます。
婦人に恋心を抱いていた新聞記者は、見舞いがてら、別荘を訪れていました。
そして、望遠鏡ごしに、水族館の観察を始めると……。
確かに、緑色のペンキが塗られた部屋が確認できたのです。
婦人の身が危ないと悟った、新聞記者は、別荘に引き返しますが、婦人の伯父が殺害され、婦人も行方不明になりました。
水族館に乗り込んだ新聞記者が見たのは、水槽で蠢く、哀れな姿にされた婦人でした。
一命をとりとめた婦人は、やがて東京に戻ります。
緑衣の鬼は、どこへ雲隠れしたのか?
婦人の愛を勝ち得るのに、実の父親を殺す必要があったのか?
本当に手に入れたいものは何だったのか?
はたまた、最初の殺人、婦人の夫の遺体はどこへ?
たくさんのナゾを残したまま、物語はクライマックスに!
犯人は、盲点になっていた、予想もしなかった人物で、かなりビックリしました(笑)
ミステリー小説は、たくさん読んでいるつもりなのに、誰が犯人か、わかりませんでした。
『緑衣の鬼』は、2度目の読書のハズなのに、覚えておらず……。
乱歩先生のトリックに脱帽です。
楽しい読書(耳読)タイムを、後世に残してくださり、ありがとうございました!
江戸川乱歩『日記帳』読書レビュー
この作品は、10分ほどで読めてしまう短編です。
結婚を控えた青年が、二十歳で夭折した弟の日記帳を読む物語。
青年は、恋も知らず、学業の志半ばでこの世を去った弟を、偲びながら日記帳をめくっていきます。
そこに、イニシャルが現れ、弟にも片思いの相手がいたのかと思っていました。
しかし、文通をしていのか? 相手の手紙の概要を、暗号っぽく記したページも見つかります。
海外の探偵小説の暗号になぞらえて、読み解くと、どうやら二人は両想いのようでした。
しかし、報われぬ恋だったのです。
弟が死の病に罹っていたからではありません。
弟は、その女性と結ばれない宿命に絶望を感じ、病気になり、亡くなったかのように思われます。
相手の女性は、誰なのか?
最後の難関の暗号を解いた兄は……。
短いながら、殺人よりも残酷なお話でした。
乱歩先生は、恋愛小説にも長けていたようですね。
オーディブルのおかげで、移動時間や退屈な家事時間が、楽しい現実逃避の時間へと変わり、感謝しています。
この2作は、オーディブルの『江戸川乱歩全集 第一巻』に収録されています。
第一巻も残すところ1/3ぐらいまできました。
まだまだ乱歩ワールドが続きます!