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アガサ・クリスティー1924年短編『ヴェールをかけた女』『プリマス急行』『消えた鉱山』 読書レビュー

おはようございます。
本日の読書レビューは、アガサ・クリスティーの短編小説より、『ヴェールをかけた女』『プリマス急行』『消えた鉱山』 の3作をお届けします。

ヴェールをかけた女

仕事がなくて暇を持て余していたポワロに、ヘイスティングは、最近ロンドンで起きた、宝石強盗の話を持ち出します。

ポワロは、興味を示しません。
ヘイスティングが窓の外を見ると、目の覚めるような貴婦人が、建てたもの内に入ってくるのが見えました。
しばらくすると、ポワロの部屋の呼び鈴がなり、ヴェールをかけた美女が現れたのです。

ヴェールの女は、貴族で、婚約を控えています。
しかし、16歳の時に書いた、恋文が、ある悪党に渡ってしまい、ゆすられているといいます。
ポワロは、その悪党を知っていたので、男に会うことにしました。
その男は、ゆすりで財を成し、ロンドン郊外のウィンブルドンに屋敷を構えています。
パリに行く予定だから、2~3日、留守にするので、話はその後だと言います。

ポワロは、ヘイスティングを連れて、深夜にその男のウィンブルドンの家へ忍び込みます。

果たして、ポワロは、貴族女の恋文を取り戻せるのでしょうか?
冒頭の宝石泥棒は、何か、関係あるのでしょうか?
ヴェールの美女の本当の正体は?

短編でありながら、テンポの速い展開で、最後のどんでん返しが見事な作品です!

収録本

ポワロ登場! 3

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プリマス急行

出版社やドラマによって『プリマス行き急行列車』など、タイトル名が微妙に違います。
この作品は、長編の『青列車の秘密』の簡略版のような短編作品です。

あるお金持ちの男性が、プリマス行きの急行列車の一等客室に乗り込みました。
トランクを座席の下に入れようとすると、何かに引っ掛かって、奥まで入りません。
トランクを引き出して、座席の下をのぞき込むと、身なりの良い美女の遺体がありました。

捜査が進むうちに、フロッシー・キャリントンという夫人でした。
フロッシーは、アメリカの富豪ハリデイ家の令嬢で、金遣いの荒い夫、キャリントン氏と離婚寸前でした。
フロッシーは、父親に買い与えられた豪華な宝石を、旅先にも持ち歩いており、メイドに管理させていました。

メイドの話によると、フロッシーは、電車の中で、予期せぬ男と会ったので、予定を変更して、次の駅では降りないと言い出しました。
メイドには、次の駅で降りて、手荷物を駅に預け、カフェで時間をつぶして待ってくれるように指示します。

車内で話を済まし、別の列車で引き返してくるので、数時間で済むということでしたが、待てど暮らせど、フロッシー嬢は、メイドが待つカフェには現れなかったのです。

金遣いの荒い夫は、妻の実家のお金をあてにしていましたが、富豪のハリデイ氏は、見切りをつけます。
フロッシー嬢が所有する宝石は、売れば相当の大金になるので、宝石目当てで妻を殺害したのでしょうか?

ポワロはハリデイ氏から依頼を受けて、フロッシー嬢殺害の謎を解きます。

フロッシー嬢が車内で出会った男とは?
メイドの証言は正しいのか?

こちらの作品も、展開が早く、意外な犯人が衝撃です!

収録本

ポワロ登場! 3

ポワロ登場! 3

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消えた鉱山

出版社によっては『消えた廃坑』というタイトルになっている短編小説です。

ポワロ作品を読んでいると、株券の話が時々出てきます。
ポワロさんがお金持ちなのは、探偵業だけではなく、投資も行っていたからのようです。
この物語は、そんなポワロが持っていた株、ビルマ鉱業株式会社にまつわる殺人事件です。

ビルマ鉱業は、とある廃坑になった鉱山の位置を示す書類を所有していました。
その書類をウー・リンという中国人に託しましたが、ウー・リンは、ビルマ鉱業の会議に現れませんでした。
そして、2日後に、遺体で発見されます。遺体や、彼が宿泊していたホテルからは、廃坑の地図は、発見されませんでした。

ポワロは、ビルマ鉱業の取引先である大会社の重役ピアスン氏から、依頼を受け、調査を始めます。

仲介人に、レスターという青年実業家がおり、その青年もウー・リンと面識があるとのこと。
レスターは、ウー・リンが失踪した日のアリバイがあやふやです。
警察が動き出し、レスターがマークされますが、ポワロは、違った意見でした。
一時期、ビルマはイギリス領であっただけに、廃坑の計画は、さまざまな人々の関心をひきました。

地図を独占して、得をするのは誰?

起承転結が、ピシッと決まった、短編小説でした!

収録本

ポワロ登場! 3

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さいごに

本日ご紹介した3作品は、アガサの初期の作品ですが、どれもテンポが速くて圧巻!
アガサがまだ30代のころの作品なので、勢いがある! ともいえますね。
今後、次々と大作の長編作品を発表していくアガサですが、やはり短編小説も光りますね。

爽快な読後感を、ありがとうございました!

 

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