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藤原伊織1995年江戸川乱歩賞受賞作『テロリストのパラソル』読書レビュー

おはようございます。
本日の読書レビューは、藤原伊織さんの『テロリストのパラソル』です。
本作は、1995年の江戸川乱歩賞受賞作!
私が今まで読んだ乱歩賞作品の中で、一番のお気に入りの作品です。
くたびれた中年男性が主人公なのですが、アウトロー的な感じが、なんともカッコいいのです!

主人公はアル中のバーテンダー

主人公は、島村というアル中のバーテンダー。
新宿中央公園から近い、雑居ビルの片隅にあるバーで、島村は、雇われ店長でもありました。
バーのフードメニューは、ホットドックしかなく、これがなかなかの名作で、後々、島村を救う、小道具として描かれているが印象的でした(笑)
島村は、40代半ばの独身男性ですが、東大文学部でフランス文学を専攻していた教養人です。
しかし、学生運動に参加し、ある爆破事件に関与していたことから、世捨て人のような生活を送っていました。
ボクシングも、プロなみの実力があったのですが……。

新宿中央公園でテロ

ある秋の日の休日、島村は、昼間からウイスキーを片手に、新宿中央公園の片隅で、くつろいでいました。
赤いコートを着た少女に話しかけられますが、適当に返事をして追い返してしまいました。
その数分後、島村の目の前で、新宿中央公園の中心部が爆破され、あたりは人々の悲鳴と煙に包まれました。
島村は、赤いコートの少女を追い返したことを悔やみ、探します。
しかし、見当たらず、宗教活動をしていた神父姿の青年に、赤いコートの少女を探して、救命するよう言づけて、その場を立ち去りました。

島村の過去とトラウマ

島村は、爆破の光景を見て、過去の学生時代の爆破事件のことを思い出します。
爆破の手口が、友人のやり方と似ていたのです。
島村の学生時代の親友であった桑野という男は、当時、学生運動の傍ら、爆弾の研究をしていました。
ある廃棄車で実験を行ったのですが、運悪く通行にがおり、けが人を出してしまいました。
島村と桑野は、他に目撃者がいなかったため、そのまま逃亡の身に。
桑野は、学生時代にバイトしていたアパレルメーカーにそのまま就職して、海外赴任者として海外逃亡に成功していました。

テロの被害者に桑野の名が

島村は、次の日の朝刊を待ち、新宿中央公園のテロの被害者リストをチェックしました。
そこには、旧友の桑野の名前が!
また、警察の上層部が休日に訪れており、被害にあっていたようです。
警察の上層部を狙ったテロだったのでしょうか?
また、桑野がいたのは、偶然だったのでしょうか?

バーにヤクザの子分が忠告に

島村は、雇われ店長でもあったので、バーを営業していました。
そこへ、派手な色合いのスーツを着た、若い二人のチンピラが訪れます。
1人の男は、話していると、なかなかインテリのようです。
島村に、立ち退くよう、忠告しに来たのです。
しかし、島村はこのバーのオーナーではなく、大家に連絡をとることを約束しました。
チンピラが帰ったあと、今度は、気の強い女子大生が訪れます。
島村は、学生時代の恋人を思い出し、ハッとします。
その女子大生は松下 塔子と名乗り、母親が新宿中央公園のテロに巻き込まれて死亡した旨を告げました。
母親の旧姓には、聞き覚えがありました。

女子大生と一緒に黒幕探し

島村は、元恋人と元親友が、テロ現場におり、死者となったことが、偶然とは思えませんでした。
元恋人の父親は著名な政治家で、外交官と結婚して、NYに在住していたはずです。
娘によると、すでに帰国しており、母親は、俳句を習っており、新宿中央公園で開かれていた俳句の会に出席していたとのこと。
島村は、塔子に協力してもらい、元恋人の俳句を調査することにしました。
俳句の中に、隠れたメッセージはないか?

さいごに

海外で生活していた桑野は、空白の20年間、どのように生活していたのでしょうか?
新宿界隈での浮浪者の聞き込み、ナゾの医学書をいつも読んでいる浮浪者男性、インテリ・チンピラの青年などなど、個性的な登場人物も魅力です。
さらに、替え玉やなりすましなど、手の込んだ首謀者の正体もまた、カッコいいのです!
この作品は、1995年の乱歩賞受賞作。
この年は、地下鉄サリン事件や、阪神淡路大震災があった年だったので、テロの舞台設定が、その時代にマッチしていて、印象に残っていました。
翌年には、直木賞も受賞しています!
藤原伊織氏のデビュー作ですが、乱歩賞&直木賞のダブル受賞は、史上初の快挙!
今なお、この快挙は破られていません。
藤原伊織氏は、残念ながら、2007年に他界されていますが、他の作品も力作ぞろいなので、ぜひご一読してみてくださいね!

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

 

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