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鮎川哲也『リラ荘殺人事件』1968年 読書レビュー

おはようございます。
本日の読書レビューは、鮎川哲也が遺した名作の1つ『リラ荘殺人事件』です。
1968年に発表された、密室殺人の代表作!
日本の必読ミステリーベスト100などに、必ず入っている作品ですね。
海外ミステリーを含め、古い作品から新しい作品まで、いろいろ読んでいますが、鮎川哲也作品は、本作で2作目。
もっと早くに読んでおけば、良かったなぁと思いました。

豪邸を改装した美大の寮での殺人

タイトルにもなっている《リラ荘》は、戦前の故大富豪が所有していた、別荘でした。
埼玉県と長野県の県境にある豪邸で、別荘地にあります。
亡き富豪は、この豪邸を《リラ荘》と名付けており、日本芸術大学の寮として使われていました。
今も昔も、私立の美大は、お金持ちの子息やご令嬢が多いので、寮も、それに見合った邸宅を、大学側が買い取ったようです。
しかし、リラ荘は、亡き富豪の鬼の面のコレクションなど、不気味な点も多く、それにその富豪が自害した場所でもあったので、曰く付きではありました。
亡き富豪の亡霊が祟ったかのように、つぎつぎと合宿にやってきた、金持ちの連中の子息や令嬢が殺されていきます。

リラ荘の近くの崖で謎の遺体が発見

学生たちが、合宿のためにリラ荘に到着すると、近くの崖から遺体が発見されました。
特にリラ荘の管理人や学生とは、関係のない人物のようですが……
死体の傍らには、スペード「A」のトランプが落ちていました。

婚約発表

参加した学生男女の中で、あるカップルが婚約発表を行いました。
参加者は、華やいだ気分で、色めき立っていましたが、今度は、郵便受けから、スペードの「2」のトランプが見つかり、第2の殺人が行われました。
被害者は、参加学生の1一人。

合計で何人の被害者が出る?

さて、スペードのトランプが見つかるたびに、「3」、「4」と次々と学生の被害者が出てきます。
参加者の中には、苦学生の者もいましたが、たいていは裕福な家庭の学生たちです。
貧乏のあまり、お金持ちを逆恨みしていたのでしょうか?
リラ荘のかつての持ち主だった富豪も、もとは貧乏人で、商売や株式で成り上がった者です。
亡き富豪の、忠実な僕が生きているとか?
リラ荘の管理人や使用人、はたまた近所の住民や、学生の中の一人……

探偵役は?

密室殺人や館ミステリーには、必ず探偵役の登場人物がいます。
この作品では、探偵役?と思っていた学生が、最後のほうで殺されたりと、予想外の展開が、スピーディー!
とても、60年前の作品だとは思えないほど!
当時としては、とても斬新な作品だったと思います。
突然、出てくる探偵役が事件を解決してくれます。

さいごに

世にあるミステリー作品のように、主人公の探偵役が物語を語るタイプの作品ではないので、最後まで「どうなるの?」という疑問がページをめくらせます。
現在活躍されているミステリー作家のほとんどが、鮎川哲也氏の作品を読破して、新たな《館ミステリー》に挑戦しているとのこと。
本作は、お手本になる一作でした。
これを機に、鮎川哲也氏の作品も、はまりそうです。
鮎川哲也氏の作品は、Kindle Unlimitedに入会していると、読み放題プランに、ほとんどの作品が入っているので、お得に読み倒せます!

昭和のノスタルジックな館ミステリーを、ありがとうございました!