おはようございます。
本日の読書レビューは、ピエール・ルメートルの『その女アレックス』です。
2011年にイギリスで発表され、翌年、イギリス推理作家協会賞を受賞しているた作品です。
美人看護師のアレックスが誘拐される
舞台はパリ。
看護師として働くアレックスは、派遣看護師のような形で、一つの病院に長くは勤めていませんでした。
病院を転々としているのには、ワケがあるのでしょうか?
ちょうど、仕事の切れ目の時、アレックスは中年男性に誘拐され、廃屋の工場跡のような場所に監禁されてしまいました。
名刑事カミーユが出動!
この物語の主人公が登場します!
名刑事のカミーユです。身長145cmという小柄な男性で、年は50歳。
著名な女流画家である母と、薬剤師の父との間に生まれました。
母親は、ヘビースモーカーで、カミーユを妊娠中もタバコを吸っており、カミーユは虚弱児としてこの世に誕生しました。
カミーユは自身の容姿にコンプレックスを持っていましたが、母親に似て似顔絵を描くのがうまく、警察に就職すると、犯人や現場の絵を描いては、難解な事件を解決する名刑事となったのです。
しかし、4年前に、最愛の理解者である妻が殺害されました。妻は妊娠中で、しかも殺害現場は亡き母のアトリエ。
職場ではカミーユに気を使って、事件の捜査をやらせないようにしていました。
しかし、カミーユの上司は、女性の誘拐事件を解決してほしいと、カミーユに担当させたのです。
誘拐された女性は誰?
読者側は、アレックスのシーンと、カミーユのシーンが、カットバックで描かれるので、誘拐された女性がアレックスということはわかっています。
しかし、カミーユなど警察側は、まだ誘拐された女性が特定されていません。
アレックスは監禁された廃屋で、果敢にネズミと戦い、脱出を試みます。
警察が、廃屋を突き止めましたが、アレックスは脱出後で、もぬけの殻でした。
誘拐された女性は、ひどい傷を負っているはずです。
普通なら、最初に警察に駆け込みそうなものですが、届け出はありませんでした。
誘拐犯が事故死
物語の前半部分で、誘拐されたアレックスの脱出劇に拍手喝さい!でしたが……
アレックスは、自室に戻り、ネット検索すると、自身を誘拐した男が事故死しているのがわかりました。
アレックスを誘拐した男は、アレックスにしつこく言い寄ってきた男の父親でした。
息子が行方不明になったので、その直前まで、熱を上げていたアレックスが息子を殺害したと思って、アレックスを誘拐し、廃屋でネズミの餌食になるよう仕掛けたのです。
パリで男性の硫酸がけ遺体が続々と
アレックスは、南仏で働くことにしたので、今まで住んでいたパリのアパルトマンを引き払います。
子供の頃から大切にしていた、日記帳を持って。
アレックスがパリを離れると、パリでは、誘拐犯の息子の遺体が発見されました。
それも、硫酸を飲まされていて、頭は原型をとどめていませんでした。
別の場所でも、男性が、硫酸を飲んで自殺したと、家族から通報がありました。
名刑事カミーユは、廃屋に監禁されていた、ナゾの女性が関係しているのではないか?と直感します。
南仏では、女性の硫酸遺体
アレックスは、南仏に行ったあと、またパリに戻っていました。
短期の看護師の応援だったのでしょうか?
そのころ、ある安宿の女主人の硫酸遺体が見つかりました。
今度は女性です。
アレックスは、移動するたびに、律義に母親と兄に電話をしていました。
それほど、家族思いということなのでしょうか?
二転三転の大逆転劇
その後も、コンピューター会社に勤務する男や、トラック運転手などの硫酸遺体が見つかりますが、カミーユたちは、まだ犯人像をつかみきれませんでした。
しかし、空港に近いホテルで、ある女性の遺体が見つかりました。
今度は硫酸ではありません。
その女は、スイスへの逃亡を企んでいたようで、翌朝、タクシーの手配もされていました。
さいごに
犯人は、推測できるのですが、その動機や、事件の真相は、想像もつかない構成となっており、ビックリ!
大逆転サスペンス劇は圧巻です。
ヨーロッパのミステリー賞を総なめにした作品だけあって、読み応え十分です!
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まだの方は、ぜひ!
女性に優しい(?)カミーユの判断も見逃せません!