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『本陣殺人事件』1946(昭和21)年 横溝正史 読書レビュー

今週のお題「人生変わった瞬間」

おはようございます。
本日の読書レビューは、横溝正史氏の『本陣殺人事件』です。
横溝作品は、だいたい読破したのですが、こちらの作品は抜け漏れていました。
横溝作品は、アガサ・クリスティー作品や乱歩作品と並んで、今の私をミステリー好きにしてくれた作家さんの一人です。
『必読!日本のミステリー100』などに、必ず入っている作品なので、オーディブルで早速、耳読しました。

戦後初の密室トリック作品

海外のミステリー文学に造詣(ぞうけい)が深い横溝氏は、日本家屋を舞台に、密室トリック作品に挑んだ名著!
横溝作品の戦後初となる長編作品でもありました。
本作は、昭和21年から『宝石』という雑誌に連載され、飛ぶように売れたというエピソードも残っています。
敬愛するディクスン・カーや、ガストン・ルルーの『黄色い部屋の秘密』を参考にしたそうです。

金田一耕助の初登場作

横溝作品に代表される探偵は、金田一耕助ですね。
この作品が、なんと、金田一耕助が初登場する作品になるそうです。
作中、何度も『獄門島』のお話が出てくるのも、興味深い!

田舎の名家に若い花嫁が嫁いでくる

岡山県の、とある田舎の村が舞台。
村一番の名士の家に、年の離れた娘が嫁いでくる、ということで村中がお祭り騒ぎでした。
その名士は、30代半ばの学者で、多数の専門書を書いていました。
大阪での講演会で、ある女学校教師をしている25歳の女性と出会い、結婚することになりました。
花嫁には両親はなく、育ての親である叔父とともに、岡山入りをしていました。

怪しい3本指の男が田舎町を徘徊?

結婚式の前日には、村の食堂で、三本指にマスクをした男が目撃されていました。
他の道中でも目撃されており、そん人たちの間で、不吉なウワサも広まっていました。

結婚式の翌日の悲劇

この名家は、昔から、花嫁がお琴を弾くというしきたりがありました。
しかし、花嫁がお琴を弾けるかどうかは、事前に確かめていなかったので、名士の歳の離れた17歳の妹が弾くことになりました。
幼いころから知能が発達せず、受け答えが不確かでしたが、お琴の才能だけ恵まれ、琴の名手だったのです。
結婚式は、この妹の琴の演奏で華やぎ、滞りなく終わりました。
花嫁も、琴が弾けることが判明し、夜半の会合時に披露してくれました。
そして、結婚初夜……。
名士の妹には夢遊病もあり、先日亡くなった愛猫の墓参りをしようと、夜中に徘徊していました。
不気味な琴の音があり、異変に気付きます。
すると、新婚夫婦の部屋から、夫妻の惨殺遺体が見つかったのです。
壁には、3本の指の手形が……

犯人はどこから屋敷の中へ?

この名家は、古くからの重厚な日本家屋です。
外部の者が入ってくるには、この家屋の構造を理解しておかなければいけません。
よそ者の3本指の男は、この村の者だったのでしょうか?

3本指の男の遺体が見つかる

一番疑わしい3本指の男の捜査が始まりました。
しかし、村のはずれで、この男の遺体が発見されました。
しかも、右腕がありません。
その割に、出血量が少ないので、死後、切断されたように思われます。
犯人は、別にいるのでしょうか???

さいごに

今でこそ、日本人作家による密室トリック小説は、豊富になりましたね。
しかし、この作品が書かれたのは、昭和21年。戦後の混乱期です。
横溝氏が、この作品の構想にチャレンジしなかったら、今の日本の密室トリック小説は、発展しなかったかもしれません!
おどろおどろしい、田舎の日本家屋の怖さや、戦後の混乱期の様子が、文章から伝わってきます。
さすが、日本のミステリー界の大御所!と呼ばれただけあり、その筆力には圧巻ですね!
読者の予想を裏切る犯人にビックリしたり、当時ならでの動機に感嘆したりと、最初から最後まで、退屈しない物語でした。

日本の密室トリックの原点でもある『本陣殺人事件』。
まだの方は、ぜひ!
オーディブルなら、聴き放題プラン内で耳読できます。