おはようございます。
本日の読書レビューは、佐藤正午さんが2017年に発表した『月の満ち欠け』です。
12月2日に、映画も公開されましたね。
この作品は、第157回直木賞受賞作でもあります。
入り込んだ設定で、永遠にループされるような、魂の生まれ変わりが、丁寧に描写された作品でした。
主人公は、小山内堅という妻子を亡くした中年男性。
ある日、青森から新幹線で東京に来ていました。
7歳の少女とその母親と会うことになったのです。
「緑坂るり」という名の少女は、初対面なのに、以前から小山内のことを知っているように振る舞います。
そして、「家族で一緒にどら焼きを食べたよね?」などと言う始末。
そして、「るり」と言う名は、小山内の亡くなった娘「瑠璃」と同じ名前でした。
にわかに信じられませんが、目の前の「るり」は、19年前に亡くなった瑠璃の記憶があるようです。
『前世』という言葉がありますが、本当に存在するのでしょうか?
娘の瑠璃は、7歳の時に高熱を出し、それから熊のぬいぐるみに「アキラ」という名前をつけて、呼び出しました。
その瑠璃は、1980年頃、地下鉄事故で亡くなった、美しい人妻「正木瑠璃」の記憶をもっていたようです。
瑠璃も、目の前のるりも、アキラという男性の魂をさがしているのでしょうか?
先祖や血族ではなく、『輪廻転生』を考えさせられる、せつない物語でした。
映画を観る前に、原作者の筆力を味わうことができ、ありがとうございました!
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